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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第3章 月光庭園
「待って!月城⁈どうしたの⁈」
梨央の声が響く。
寝台を飛び降りて、扉を開けたのだろう。
しかし月城は梨央の声から逃げるように大階段を駆け下り、階下への階段も走り抜け、扉を開けて使用人の階に飛び込む。
扉にもたれ掛かり、顔を覆う。
…僕は…何をしようとしたのだ!
梨央様を…
梨央様を自分のものにしようとした…
自分だけのものにしたかった…
縣様から奪い去り、ここから連れ去りたかった…
なんと言うことを…!
なんと言う恐ろしく浅ましいことを考えていたのだ!
僕は…
僕は執事見習い失格だ…!
月城はその場にしゃがみこみ、声をたてずに泣き続けた。
…奥の部屋の扉が細く開かれる。
音もなく佇み、泣き続ける月城を見つめているのは狭霧…。
いつもの明るく華やかな表情は一切ない。
静かな…しかし、どこか闇を抱えているような底知れぬ表情…。
狭霧はいつまでも月城を見つめ続けていた。
梨央の声が響く。
寝台を飛び降りて、扉を開けたのだろう。
しかし月城は梨央の声から逃げるように大階段を駆け下り、階下への階段も走り抜け、扉を開けて使用人の階に飛び込む。
扉にもたれ掛かり、顔を覆う。
…僕は…何をしようとしたのだ!
梨央様を…
梨央様を自分のものにしようとした…
自分だけのものにしたかった…
縣様から奪い去り、ここから連れ去りたかった…
なんと言うことを…!
なんと言う恐ろしく浅ましいことを考えていたのだ!
僕は…
僕は執事見習い失格だ…!
月城はその場にしゃがみこみ、声をたてずに泣き続けた。
…奥の部屋の扉が細く開かれる。
音もなく佇み、泣き続ける月城を見つめているのは狭霧…。
いつもの明るく華やかな表情は一切ない。
静かな…しかし、どこか闇を抱えているような底知れぬ表情…。
狭霧はいつまでも月城を見つめ続けていた。