この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第4章 聖なる贈り物
梨央は月城を見上げると嬉しそうに笑った。
「おうちに贈り物、まだ送ってない?」
「え?…は、はい…」
梨央は手に抱きしめている人形を月城に差し出した。
「はい!このマリーちゃんもお荷物に入れて!」
「え?…あの…梨央様…?」
「マリーちゃん、月城の妹さんにあげる!可愛がってくれるわよね?」
月城は驚きの余り一瞬、言葉に詰まる。
「こ、このお人形は…梨央様がとても大切になさっているお人形ではありませんか?」
マリーちゃんと名付けられた人形は、伯爵がパリの人形工房ジュモーで購入したビスクドールだ。
紅いベルベットのドレスを着せられた金髪に青い瞳、白い肌の芸術的に美しいビスクドールは表情も繊細で優しげで、梨央のお気に入りの人形だった。
たくさんある人形の中でも1番に話しかける大好きな人形のはず…。
梨央は人形を撫でながら
「大好きよ。でも、月城の妹さんにあげたいの。妹さんは月城がいなくて寂しがっているでしょ?だから梨央の大切にしているマリーちゃんをあげる。…月城の代わりにマリーちゃんがいたら寂しくないと思うから…」
「梨央様…」
月城の胸は梨央の優しさに感激し、打ち震える。
「梨央が月城を妹さんから取ってしまったから…ごめんなさい、て言いたいの…」
「…そんな!梨央様は悪くありません。…お気持ちだけで充分ありがたいですから…このお人形は大変高価なものなのです。ですから頂く訳にはまいりません」
「お父様にお手紙でお知らせしたら、いいと仰っていたわ。月城の妹さんが気に入るといいね、て…」
「…し、しかし…」
躊躇する月城の背中を明るく叩いたのは春だった。
「いいじゃないか。旦那様が承知されているのなら…。梨央様のお優しいお気持ちを無にしちゃいけないよ。これは梨央様から妹さんへのクリスマスプレゼントなんだから…」
春は梨央を優しく抱き上げ、愛しげに頬ずりした。
「梨央様はお優しいお方ですね。お優しくてお美しくて…本当に天使のようですよ」
梨央はにこにこ春と月城を交互に見つめた。
月城は、静かに礼を述べた。
「…梨央様…。ありがとうございます…。それではお言葉に甘えさせていただきます」
梨央の瞳が輝いた。そして人形に話しかける。
「マリーちゃん。良かったわね。妹さんと仲良く遊んでね」
…梨央様は本当に天使なのかも知れない…。
月城は益々梨央に惹かれてゆく自分を感じるのだった。
「おうちに贈り物、まだ送ってない?」
「え?…は、はい…」
梨央は手に抱きしめている人形を月城に差し出した。
「はい!このマリーちゃんもお荷物に入れて!」
「え?…あの…梨央様…?」
「マリーちゃん、月城の妹さんにあげる!可愛がってくれるわよね?」
月城は驚きの余り一瞬、言葉に詰まる。
「こ、このお人形は…梨央様がとても大切になさっているお人形ではありませんか?」
マリーちゃんと名付けられた人形は、伯爵がパリの人形工房ジュモーで購入したビスクドールだ。
紅いベルベットのドレスを着せられた金髪に青い瞳、白い肌の芸術的に美しいビスクドールは表情も繊細で優しげで、梨央のお気に入りの人形だった。
たくさんある人形の中でも1番に話しかける大好きな人形のはず…。
梨央は人形を撫でながら
「大好きよ。でも、月城の妹さんにあげたいの。妹さんは月城がいなくて寂しがっているでしょ?だから梨央の大切にしているマリーちゃんをあげる。…月城の代わりにマリーちゃんがいたら寂しくないと思うから…」
「梨央様…」
月城の胸は梨央の優しさに感激し、打ち震える。
「梨央が月城を妹さんから取ってしまったから…ごめんなさい、て言いたいの…」
「…そんな!梨央様は悪くありません。…お気持ちだけで充分ありがたいですから…このお人形は大変高価なものなのです。ですから頂く訳にはまいりません」
「お父様にお手紙でお知らせしたら、いいと仰っていたわ。月城の妹さんが気に入るといいね、て…」
「…し、しかし…」
躊躇する月城の背中を明るく叩いたのは春だった。
「いいじゃないか。旦那様が承知されているのなら…。梨央様のお優しいお気持ちを無にしちゃいけないよ。これは梨央様から妹さんへのクリスマスプレゼントなんだから…」
春は梨央を優しく抱き上げ、愛しげに頬ずりした。
「梨央様はお優しいお方ですね。お優しくてお美しくて…本当に天使のようですよ」
梨央はにこにこ春と月城を交互に見つめた。
月城は、静かに礼を述べた。
「…梨央様…。ありがとうございます…。それではお言葉に甘えさせていただきます」
梨央の瞳が輝いた。そして人形に話しかける。
「マリーちゃん。良かったわね。妹さんと仲良く遊んでね」
…梨央様は本当に天使なのかも知れない…。
月城は益々梨央に惹かれてゆく自分を感じるのだった。