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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第4章 聖なる贈り物
クリスマスまであと僅かとなった12月半ば…。
子供部屋では梨央が、メイド長の茅野となにやら楽しそうに内緒話をしている。
月城が不思議そうにしていると、梨央は目ざとく月城を見つけ、さっと何かを隠し
「だめ!月城は見ちゃだめ!」
と声をあげた。
茅野は可笑しそうに微笑んでいるので、悪いことではなさそうだ。
「…私には秘密ですか?」
「そう。月城には秘密!見ちゃだめなの」
真剣に言い張る表情があまりに可愛らしくて月城は苦笑しながら、
「わかりました。では失礼いたしますね」
と子供部屋を出た。
…旦那様がお帰りになる日が近づくごとに、梨央様はお元気になられるな…。
月城は嬉しげに微笑む。
そのまま玄関ホールに降りると、丁度玄関の呼び鈴が鳴った。
重い扉を開けるとそこには、大きな包み紙を抱えた縣が立っていた。
「突然来てしまいすまないね」
チョコレート色の上質なカシミアのコートを着た縣は見る人を魅了せずにはいられない笑顔を美しい顔に浮かべる。
「縣様…!どうぞお入りください。ご連絡いただけましたら、お迎えできましたのに…申し訳ございません」
月城は縣を恭しく招き入れる。
そして縣からコートを受け取る月城に
「いや、僕が約束なしに伺ってしまったのが悪いのだから、気にしないでくれたまえ。…梨央さんはいらっしゃるかな?」
と、尋ねる。
縣はいつも梨央のことになると、普段の自信や余裕がどこに行ったのかと思うほど、そわそわと落ち着かない様子になる。
「はい。お部屋にいらっしゃいます。…お呼びいたしますので、応接間にご案内…」
「いや、いい。僕が伺おう」
縣は慌ただしく大階段を昇り出した。
月城は慌てて後を追う。
「実は、急に父の名代で九州の炭鉱の視察に行かなくてはならなくなってね。視察のあとも、九州の財閥のお歴々との夜会を詰め込まれて…お招きいただいているクリスマスの晩餐会には出席できそうもないんだ。楽しみにしていたのに、がっかりだよ」
縣は本当に残念そうに苦笑する。
「…それは私も残念です。梨央様もがっかりされることでしょう」
縣は脚を止め、月城を振り返る。
「本当にそう思うかい?」
「…はい。梨央様は縣様と旦那様と過ごされるクリスマスを殊の外、楽しみにしておられますから…」
「…そうだと嬉しいよ…」
縣は朗らかに笑い、再び階段を昇り始めた。
子供部屋では梨央が、メイド長の茅野となにやら楽しそうに内緒話をしている。
月城が不思議そうにしていると、梨央は目ざとく月城を見つけ、さっと何かを隠し
「だめ!月城は見ちゃだめ!」
と声をあげた。
茅野は可笑しそうに微笑んでいるので、悪いことではなさそうだ。
「…私には秘密ですか?」
「そう。月城には秘密!見ちゃだめなの」
真剣に言い張る表情があまりに可愛らしくて月城は苦笑しながら、
「わかりました。では失礼いたしますね」
と子供部屋を出た。
…旦那様がお帰りになる日が近づくごとに、梨央様はお元気になられるな…。
月城は嬉しげに微笑む。
そのまま玄関ホールに降りると、丁度玄関の呼び鈴が鳴った。
重い扉を開けるとそこには、大きな包み紙を抱えた縣が立っていた。
「突然来てしまいすまないね」
チョコレート色の上質なカシミアのコートを着た縣は見る人を魅了せずにはいられない笑顔を美しい顔に浮かべる。
「縣様…!どうぞお入りください。ご連絡いただけましたら、お迎えできましたのに…申し訳ございません」
月城は縣を恭しく招き入れる。
そして縣からコートを受け取る月城に
「いや、僕が約束なしに伺ってしまったのが悪いのだから、気にしないでくれたまえ。…梨央さんはいらっしゃるかな?」
と、尋ねる。
縣はいつも梨央のことになると、普段の自信や余裕がどこに行ったのかと思うほど、そわそわと落ち着かない様子になる。
「はい。お部屋にいらっしゃいます。…お呼びいたしますので、応接間にご案内…」
「いや、いい。僕が伺おう」
縣は慌ただしく大階段を昇り出した。
月城は慌てて後を追う。
「実は、急に父の名代で九州の炭鉱の視察に行かなくてはならなくなってね。視察のあとも、九州の財閥のお歴々との夜会を詰め込まれて…お招きいただいているクリスマスの晩餐会には出席できそうもないんだ。楽しみにしていたのに、がっかりだよ」
縣は本当に残念そうに苦笑する。
「…それは私も残念です。梨央様もがっかりされることでしょう」
縣は脚を止め、月城を振り返る。
「本当にそう思うかい?」
「…はい。梨央様は縣様と旦那様と過ごされるクリスマスを殊の外、楽しみにしておられますから…」
「…そうだと嬉しいよ…」
縣は朗らかに笑い、再び階段を昇り始めた。