この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第4章 聖なる贈り物
梨央の部屋をノックし、扉を開けると縣を見つけた梨央が目を丸くして驚いた。
「縣様!」
縣は梨央に優雅に一礼し、挨拶をする。
「突然お伺いいたしまして申し訳ありません。梨央さん、…お元気そうで何よりです」
梨央は恥ずかしそうに、しかしきちんと膝を折って挨拶をする。
「ご機嫌よう。縣様」
長い黒髪を薄桃色の革のカチューシャで纏め、同色のプリンセス袖のワンピースに白いフリルのついたエプロンをかけ、白いタイツと臙脂色のストラップ付きの革靴を履いた梨央は童話の世界の小公女のように美しく可愛らしい。
縣はその様子に目を細める。
「実はこれから九州の方へ行かなくてはなりません。お招きいただいたクリスマスの晩餐会には伺えなくなりました」
梨央は目を見張り、寂しそうに呟く。
「…縣様、いらっしゃれないのですか?」
「はい。申し訳ありません」
「お父様も縣様が見えるのを楽しみにしていらしたのに…」
長い睫毛を伏せ、肩を落とす梨央に縣は跪いて髪を撫でる。
「…私も残念です。今年のクリスマスは梨央さんと過ごせると心待ちにしていたのですが…」
梨央が寂しそうな瞳でじっと縣を見つめる。
縣の男らしい精悍な頬が僅かに赤らむ。

…縣様は、本当に梨央様のことがお好きなんだな…。
月城は少し切ない気持ちになる。
梨央様がもう少し大きくなられたら…
縣様なら、梨央様だってお好きになられるだろう…。
こんなにも完璧な紳士が身近にいらしたら…。
月城の胸はちくりと痛む。

縣は沈んだ雰囲気を変えるようにおどけた口調で口を開いた。
「…そんな訳でクリスマスに伺えないので、少々早いのですが…梨央さんにプレゼントを持ってまいりました!じゃ〜〜ん‼︎」
背中に隠していた大きな紙包みを梨央の前に差し出す。
「開けてみてください」
梨央はわくわくした表情で包みを開ける。

…中から出てきたのは大きな…そして美しいビスクドールだった。
「わあ…!お人形さんだわ!」
人形が大好きな梨央は歓声を上げた。
「先日、青山のビスクドール専門店で見かけて一目惚れして購入したのです。フランスのブリューのお人形です。…どことなく、梨央さんに似た面差しだと思いませんか?」
ビスクドールには珍しくさらさらの黒髪に、褐色の瞳はすっとした涼しげな眼差しである。
白く滑らかな肌、内側から灯りが灯ったかのような頬、さくらんぼのような可憐な唇…。
/233ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ