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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第4章 聖なる贈り物
その知らせはクリスマスイブの前日の朝に、橘から伝えられた。
階下の橘の部屋に呼ばれた月城は小さな1枚の紙を手渡された。
「…旦那様からの電報だ」
橘が珍しく意気消沈したような困惑したような表情を浮かべている。
「…困ったことになった…」
月城は文面に目を通す。
眼鏡の奥の切れ長の瞳が見開かれた。
「…⁈旦那様は、明日こちらにお着きになれないのですか?」
橘が執務机の椅子に腰掛け、手を組んだまま溜息を吐いた。
「旦那様がお乗りになる船が嵐で欠航されているらしい。…出発もいつになるか…」
「…そうですか…」
橘が再び、心底困ったように溜息を吐く。
「…あんなに旦那様のお帰りを待ちわびていらっしゃる梨央様に…なんとお伝えしたら良いのか…」
月城も途方に暮れる。
…先ほどクリスマスカレンダーを捲りながら
「月城!見て!今日はトナカイさんの人形よ!…明日にはお父様がお帰りになるのよ!」
とはしゃいで小さな人形を見せた梨央の弾けるような笑顔が胸に浮かんだ。
「…梨央様…どんなに落胆されることでしょう…」
想像するだけで胸が痛む。
橘が気弱に月城に告げる。
「…すまんが梨央様にはお前からお伝えしてくれ…」
「え⁈わ、私ですか⁈」
慌てる月城に橘は懇願するように、見たことがないほど気弱な眼差しで見上げた。
「…私は梨央様のお泣きになるお顔はもう見たくないのだ…梨央様の涙は世界で一番苦手なのだよ。…梨央様の涙を見るくらいなら、メドゥーサと闘うほうが数百倍ましだ…」







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