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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第4章 聖なる贈り物
月城は梨央の部屋の扉をノックする。
…返事はない。
鍵は閉められたまま、まるで梨央の心のように閉ざされてしまっている。
「…梨央様、梨央様…月城です。先ほどは申し訳ありませんでした。梨央様に対して失礼なことを…お許しください」
「…」
…反応はない。
「…梨央様、お約束通りにお帰りになれないことを一番落胆されているのは旦那様です。梨央様の元に一刻も早くお帰りになりたいと思っておられるはずです。
旦那様は必ずお帰りになります。明日は無理でも必ず近い内に…。ご一緒にお待ち申し上げましょう」
「…」
月城は小さく溜息を吐く。
「…失礼いたします」
月城はそっと扉を離れようとした。
…と、その時…。
鍵が開けられる小さな音が聞こえ、扉が内側から静かに開いた。
月城ははっと振り返る。
「梨央様!」
そこには美しい髪がくしゃくしゃになり、真っ赤に目を泣き腫らした梨央が立っていた。
「…お父様が悪いなんて、思ってないわ…」
「…梨央様…」
月城は梨央と目線を合わせるように跪く。
「…でも…梨央は…お父様のお帰りを…ずっとずっとお待ちしていたのに…」
梨央がぽろぽろと水晶のような涙を流す。
「…はい…」
月城は胸ポケットから取り出したハンカチで梨央の涙をそっと拭う。
「…お父様に早くお会いしたいの…」
「…はい…梨央様のお気持ち、よくわかります…」
月城は梨央と目を合わせ、穏やかに頷く。
堰を切ったように梨央が泣き出し、月城に抱きつく。
「…お父様…お父様…」
月城は優しく、しっかりと梨央を抱きしめる。
「…お泣きください…私はずっと梨央様のお側におります。お気が済むまでお泣きください…」
梨央は月城にしがみついて声をあげて泣き続ける。
…旦那様…、梨央様のために早くお帰り下さい…早く…。
月城は梨央を抱きしめ、美しい髪を優しく撫でながら、心の中で祈り続けた。
…返事はない。
鍵は閉められたまま、まるで梨央の心のように閉ざされてしまっている。
「…梨央様、梨央様…月城です。先ほどは申し訳ありませんでした。梨央様に対して失礼なことを…お許しください」
「…」
…反応はない。
「…梨央様、お約束通りにお帰りになれないことを一番落胆されているのは旦那様です。梨央様の元に一刻も早くお帰りになりたいと思っておられるはずです。
旦那様は必ずお帰りになります。明日は無理でも必ず近い内に…。ご一緒にお待ち申し上げましょう」
「…」
月城は小さく溜息を吐く。
「…失礼いたします」
月城はそっと扉を離れようとした。
…と、その時…。
鍵が開けられる小さな音が聞こえ、扉が内側から静かに開いた。
月城ははっと振り返る。
「梨央様!」
そこには美しい髪がくしゃくしゃになり、真っ赤に目を泣き腫らした梨央が立っていた。
「…お父様が悪いなんて、思ってないわ…」
「…梨央様…」
月城は梨央と目線を合わせるように跪く。
「…でも…梨央は…お父様のお帰りを…ずっとずっとお待ちしていたのに…」
梨央がぽろぽろと水晶のような涙を流す。
「…はい…」
月城は胸ポケットから取り出したハンカチで梨央の涙をそっと拭う。
「…お父様に早くお会いしたいの…」
「…はい…梨央様のお気持ち、よくわかります…」
月城は梨央と目を合わせ、穏やかに頷く。
堰を切ったように梨央が泣き出し、月城に抱きつく。
「…お父様…お父様…」
月城は優しく、しっかりと梨央を抱きしめる。
「…お泣きください…私はずっと梨央様のお側におります。お気が済むまでお泣きください…」
梨央は月城にしがみついて声をあげて泣き続ける。
…旦那様…、梨央様のために早くお帰り下さい…早く…。
月城は梨央を抱きしめ、美しい髪を優しく撫でながら、心の中で祈り続けた。