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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第4章 聖なる贈り物
その夜、梨央は部屋から出ようとしなかった。
食事も自分の部屋で摂ると言い、しかも小鳥が啄むほどしか口にしない。
春が梨央を元気付けようと、大好きなラザニアや仔羊のローストやフルーツのババロアなど心尽くしの料理を並べたのだが、一口ずつ口をつけただけだった…。
厨房に戻ってきた皿を見て、春が首を振り、溜息を吐く。
「…お可哀想に…梨央様…。よっぽどお寂しいんだねえ…旦那様と過ごされるクリスマスを本当に楽しみにされていたからねえ…」
翌朝も、朝食にはほとんど手をつけず、
「気分が悪いの…」
と呟き、言葉少なに寝台に潜り込みブランケットを被ってしまった。
「…梨央様、丹羽先生をお呼びしましょうか?」
「…いいの…」
「…しかし…」
「…一人にして…」
「…梨央様…」
「…お願い…」
梨央はブランケットを深く被り、更にベッドに潜り込む。
そんな梨央を見ながら、月城は静かに語りかける。
「分かりました。…それではご用がございましたら、いつでもお呼び下さい。…失礼いたします」
「…」
月城はそっと部屋を出る。
…梨央様をお慰めしたいな…。
少しでも梨央様に明るくなっていただきたい…。
何か、良いアイディアはないものだろうか…。
月城が考えあぐねていると、橘が廊下の向こうから現れた。
「…月城、来てくれ」
手招きをされる。
「はい」
…なんだろう…。
月城は疑問に思いながら、橘の後をついて、階下に降りて行った。
食事も自分の部屋で摂ると言い、しかも小鳥が啄むほどしか口にしない。
春が梨央を元気付けようと、大好きなラザニアや仔羊のローストやフルーツのババロアなど心尽くしの料理を並べたのだが、一口ずつ口をつけただけだった…。
厨房に戻ってきた皿を見て、春が首を振り、溜息を吐く。
「…お可哀想に…梨央様…。よっぽどお寂しいんだねえ…旦那様と過ごされるクリスマスを本当に楽しみにされていたからねえ…」
翌朝も、朝食にはほとんど手をつけず、
「気分が悪いの…」
と呟き、言葉少なに寝台に潜り込みブランケットを被ってしまった。
「…梨央様、丹羽先生をお呼びしましょうか?」
「…いいの…」
「…しかし…」
「…一人にして…」
「…梨央様…」
「…お願い…」
梨央はブランケットを深く被り、更にベッドに潜り込む。
そんな梨央を見ながら、月城は静かに語りかける。
「分かりました。…それではご用がございましたら、いつでもお呼び下さい。…失礼いたします」
「…」
月城はそっと部屋を出る。
…梨央様をお慰めしたいな…。
少しでも梨央様に明るくなっていただきたい…。
何か、良いアイディアはないものだろうか…。
月城が考えあぐねていると、橘が廊下の向こうから現れた。
「…月城、来てくれ」
手招きをされる。
「はい」
…なんだろう…。
月城は疑問に思いながら、橘の後をついて、階下に降りて行った。