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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第4章 聖なる贈り物
梨央が驚いたように月城の顔を見つめる。
そして慰めるように、頬の涙を小さな手でぬぐう。
「泣かないで、月城」
「…すみません。…嬉しくて泣いているのです」
「…月城は泣き虫ね。梨央とおなじだわ」
と、笑う。
月城は涙を拭いながら梨央に笑いかけた。
「…梨央様と同じなら光栄です」
「これから泣く時はこのハンカチを使ってね」
「もったいなくて使えません」
「あら、じゃあハンカチの意味がないわ」
二人は同時に吹き出す。

それから月城は、少し躊躇したが上着のポケットに手を入れ小さな箱を取り出し、梨央に差し出した。
「…私からの梨央様へのクリスマスプレゼントです」
梨央は目を丸くする。
「梨央に⁈」
「…はい…しかし…とても恥ずかしい位つまらないものなのです…」
月城は小さな声で答える。
梨央はわくわくしたように箱を開ける。
中からは、珊瑚でできた薔薇を象った髪留めが現れた。
「…わあ!綺麗!薔薇の形だわ!」
梨央の瞳がきらきら光る。
「…でも…縣様のような高級品ではありません…梨央様に相応しいものでは…ですので差し上げるのは失礼かと躊躇っていたのです」
梨央は跪く月城の顔を真っ直ぐに見る。
「どうして?梨央は月城が梨央の為に選んでくれたことが嬉しいの。梨央が薔薇が好きだからでしょ?…すごく可愛いわ。ありがとう、月城」
「梨央様…」
目頭が熱くなるのをぐっと堪える。
梨央が髪留めを月城に差し出す。
「…付けて、月城」
「よろしいのですか?」
梨央は頷く。
月城は美しく結い上げられた梨央の絹糸のような髪に丁寧に髪留めを留める。
黒髪に珊瑚の薔薇の髪留めは良く映えた。
「どう?月城」
「はい。とても良くお似合いです」
…すごくお綺麗だ…梨央様…
「ありがとう…あと…」
梨央は照れ臭そうに囁く。
「昨日は大嫌いなんて言ってごめんなさい…」
月城は穏やかに首を振る。
「少しも気にしていません」
梨央の黒曜石のような漆黒の瞳が煌めいたかと思うと、あっと言う間に梨央の身体が月城に近づき、
「大好きよ、月城…メリークリスマス!」
と、羽根のような微かなキスを月城の頬に落とし、そのままぱたぱたと窓辺へと走り出した。
月城は頬を抑え、赤くなる。
「梨、梨央様!」
そして、窓辺に頬杖をつき降り積もる雪をうっとりと見つめる梨央に月城はそっと呟く。
「メリークリスマス。…大好きな梨央様…」



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