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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon
車から優雅な所作で降り立ったのは1人の男装の美少女であった。
美しい黒髪は襟足辺りで綺麗に切り揃えられ、白く艶やかなうなじと髪がかけられた薄く透き通るような耳が官能的でさえある。
すらりとした長身は月城よりやや低いくらいで小さな頭、長い手足のそれは正に西洋の少年のようだ。
白い麻のブラウスはチャイナ襟で、上にベージュのジレを羽織り、それに合わせたパンツは美しく長い脚を強調するかのようなぴたりと細身のもので、編み上げのショートブーツと共に大層よく似合い、まるでグラビアやシネマから抜け出てきたような姿であった。
白い肌は練絹のようなきめ細やかさ、形の良い眉の下の睫毛は長く、瞳は切れ長で涼し気な一重…梨央に良く似た京人形のような怜悧な美しさである。
整った形の良い鼻、唇は下唇がふっくらと蜜を含んだように官能的な紅色に彩られている。
「光お姉様!」
待ちかねたように梨央がその美少女…光の元に駆け寄る。
光は梨央に視線をやると、それまで物憂気だった瞳に優しく温かい色を浮かべ、花が開いたように笑いかけた。
そして、西洋人のように梨央を強く抱擁すると、梨央の白桃のように滑らかな頬に愛し気にキスをした。
「…梨央さん…。お久しぶりね。会いたかったわ。…まあ、一段とお綺麗になられたこと…」
キスされた梨央は頬を薔薇色に染め、恥じらうように光を見上げた。
「…そんな…光お姉様こそ、あまりにお美しくて…大人っぽくて…眩しいくらいですわ…」
光は梨央の頬を可愛くてならないかのようにそのしなやかな指で撫で、美しい額を梨央のそれにつける。
「…可愛い梨央さん。ずっと貴方に会いたかったわ。こんなに大きく、お綺麗になられて…嬉しいわ…」
「…光お姉様…」
梨央は恥ずかしそうに、しかし嬉しくて堪らない様子で光に抱きつく。
…その光景は1枚の絵のように麗しく…そしてどこか官能的ですらあった。
思わず見惚れた月城に気づいた光が、やや驚いたように月城を見る。
「…随分若く美しい執事ね」
梨央は光の腕の中で月城を振り返り、柔かに紹介する。
「光お姉様も初めてだったかしら?第二執事の月城よ。今回は橘に代わって月城がこの別荘を取り仕切ることになったの」
「…そう。よろしくね、月城」
艶やかな瞳に笑みを浮かべ月城を見つめた。
月城は恭しく一礼する。
「こちらこそ、光様。…ようこそいらっしゃいました」
美しい黒髪は襟足辺りで綺麗に切り揃えられ、白く艶やかなうなじと髪がかけられた薄く透き通るような耳が官能的でさえある。
すらりとした長身は月城よりやや低いくらいで小さな頭、長い手足のそれは正に西洋の少年のようだ。
白い麻のブラウスはチャイナ襟で、上にベージュのジレを羽織り、それに合わせたパンツは美しく長い脚を強調するかのようなぴたりと細身のもので、編み上げのショートブーツと共に大層よく似合い、まるでグラビアやシネマから抜け出てきたような姿であった。
白い肌は練絹のようなきめ細やかさ、形の良い眉の下の睫毛は長く、瞳は切れ長で涼し気な一重…梨央に良く似た京人形のような怜悧な美しさである。
整った形の良い鼻、唇は下唇がふっくらと蜜を含んだように官能的な紅色に彩られている。
「光お姉様!」
待ちかねたように梨央がその美少女…光の元に駆け寄る。
光は梨央に視線をやると、それまで物憂気だった瞳に優しく温かい色を浮かべ、花が開いたように笑いかけた。
そして、西洋人のように梨央を強く抱擁すると、梨央の白桃のように滑らかな頬に愛し気にキスをした。
「…梨央さん…。お久しぶりね。会いたかったわ。…まあ、一段とお綺麗になられたこと…」
キスされた梨央は頬を薔薇色に染め、恥じらうように光を見上げた。
「…そんな…光お姉様こそ、あまりにお美しくて…大人っぽくて…眩しいくらいですわ…」
光は梨央の頬を可愛くてならないかのようにそのしなやかな指で撫で、美しい額を梨央のそれにつける。
「…可愛い梨央さん。ずっと貴方に会いたかったわ。こんなに大きく、お綺麗になられて…嬉しいわ…」
「…光お姉様…」
梨央は恥ずかしそうに、しかし嬉しくて堪らない様子で光に抱きつく。
…その光景は1枚の絵のように麗しく…そしてどこか官能的ですらあった。
思わず見惚れた月城に気づいた光が、やや驚いたように月城を見る。
「…随分若く美しい執事ね」
梨央は光の腕の中で月城を振り返り、柔かに紹介する。
「光お姉様も初めてだったかしら?第二執事の月城よ。今回は橘に代わって月城がこの別荘を取り仕切ることになったの」
「…そう。よろしくね、月城」
艶やかな瞳に笑みを浮かべ月城を見つめた。
月城は恭しく一礼する。
「こちらこそ、光様。…ようこそいらっしゃいました」