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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon
それから2人はテラスに場所を移し、仲睦まじくお茶を楽しんだ。
広いテーブルに対面で座るようにセッティングしていたのだが、梨央が
「光お姉様のお隣に行きたい」
と、自ら隣に座った。
そんな梨央を光は愛おしくてならないように、髪を撫で、梨央の華奢な手を取り指先にキスをする。
梨央は光のやや濃厚なスキンシップを嫌がる所か、頬を染め瞳を潤ませながら光を見つめる。
…梨央様は、本当に光様がお好きなのだな…。
月城は驚きながら、隙のない所作で香り高いダージリンをボーンチャイナに注ぐ。
「梨央さんは相変わらず甘えん坊さんね」
光は艶な微笑を浮かべて梨央を見つめ返す。
「少しは人見知りが直ったかしら?」
梨央の顎をくすぐるように撫でる。
梨央は拗ねたように上目づかいで光を見上げる。
「…直りませんわ。…だって、光お姉様が近くにいらっしゃらないから…」
「困った梨央さんね。お茶会などはいらしてないの?」
「…余り…。お家にいた方が楽しいし、落ち着くの」
誰よりも美しく成長しているのに、梨央は相変わらず…いや、以前にも増して人見知りが激しくなり、身体が丈夫でないこともあり、屋敷に引き込もった生活を送っている。
稀に茶会などに参加しても、大抵途中で気分が悪くなり早退してしまうことが多く、それがまた梨央の外出嫌いに拍車をかけてしまうのだ。
『梨央様の人見知りとお出かけ嫌いをなんとかしなくては…来るデビュッタントにもご出席出来なくなってしまう』
橘のここ最近の悩みの種はこれに尽きた。
「…梨央さんは何れ社交界にデビューしなくてはならないのですから、お人嫌いは直しておかなくてはね」
「…でも…」
弱気になる梨央の肩を優しく抱き締め、髪にキスする。
「大丈夫。私が付いているわ。この夏、梨央さんが少しでも苦手を克服できるよう私が特訓して差し上げるわ」
「光お姉様が?」
「ええ。私とご一緒に色々な経験をしましょうね。…可愛い梨央さん。貴方はもっともっと輝けるのよ。こんなにお美しいのにずっとお屋敷に閉じ篭っているなんてもったいないわ」
梨央はおずおずと頷く。
「…光お姉様とご一緒なら…いいわ」
「良かった!大好きよ、梨央さん」
光の甘い言葉は梨央の心を溶かす魔法の言葉のようであった。
…こんな梨央様を拝見するのは初めてだ。
月城は驚きつつもどこか寂しい想いに囚われるのであった。
広いテーブルに対面で座るようにセッティングしていたのだが、梨央が
「光お姉様のお隣に行きたい」
と、自ら隣に座った。
そんな梨央を光は愛おしくてならないように、髪を撫で、梨央の華奢な手を取り指先にキスをする。
梨央は光のやや濃厚なスキンシップを嫌がる所か、頬を染め瞳を潤ませながら光を見つめる。
…梨央様は、本当に光様がお好きなのだな…。
月城は驚きながら、隙のない所作で香り高いダージリンをボーンチャイナに注ぐ。
「梨央さんは相変わらず甘えん坊さんね」
光は艶な微笑を浮かべて梨央を見つめ返す。
「少しは人見知りが直ったかしら?」
梨央の顎をくすぐるように撫でる。
梨央は拗ねたように上目づかいで光を見上げる。
「…直りませんわ。…だって、光お姉様が近くにいらっしゃらないから…」
「困った梨央さんね。お茶会などはいらしてないの?」
「…余り…。お家にいた方が楽しいし、落ち着くの」
誰よりも美しく成長しているのに、梨央は相変わらず…いや、以前にも増して人見知りが激しくなり、身体が丈夫でないこともあり、屋敷に引き込もった生活を送っている。
稀に茶会などに参加しても、大抵途中で気分が悪くなり早退してしまうことが多く、それがまた梨央の外出嫌いに拍車をかけてしまうのだ。
『梨央様の人見知りとお出かけ嫌いをなんとかしなくては…来るデビュッタントにもご出席出来なくなってしまう』
橘のここ最近の悩みの種はこれに尽きた。
「…梨央さんは何れ社交界にデビューしなくてはならないのですから、お人嫌いは直しておかなくてはね」
「…でも…」
弱気になる梨央の肩を優しく抱き締め、髪にキスする。
「大丈夫。私が付いているわ。この夏、梨央さんが少しでも苦手を克服できるよう私が特訓して差し上げるわ」
「光お姉様が?」
「ええ。私とご一緒に色々な経験をしましょうね。…可愛い梨央さん。貴方はもっともっと輝けるのよ。こんなにお美しいのにずっとお屋敷に閉じ篭っているなんてもったいないわ」
梨央はおずおずと頷く。
「…光お姉様とご一緒なら…いいわ」
「良かった!大好きよ、梨央さん」
光の甘い言葉は梨央の心を溶かす魔法の言葉のようであった。
…こんな梨央様を拝見するのは初めてだ。
月城は驚きつつもどこか寂しい想いに囚われるのであった。