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月の川 〜真珠浪漫物語 番外編〜
第5章 Fly me to the Moon
翌日から、梨央は一日中光の側を離れなかった。
少しでも光の姿が見えなくなると、
「光お姉様はどこ?」
と不安げに屋敷中を探し回る。
光の姿を見つけると、離れ離れだった母親と再会した子供のように熱烈にしがみつく。
「お姉様!…黙ってどこかに行かれたら嫌よ」
拗ねる梨央を、光も可愛くて仕方ないようにその美しい頬を撫でて抱きしめる。
「甘えん坊さんね。梨央さんはまだまだbebeちゃんだわ」
と揶揄うように笑う。
「赤ちゃんじゃないわ!…梨央はもう14歳よ。来年は15歳…」
むっとしながら抗議する梨央の唇を、光は軽く啄むようなキスで封じ込める。
梨央はその切れ長で澄んだ美しい瞳を見開き、瞬時に頬を染めて両手で唇を覆う。
「…ひ、光お姉様!な、何をなさるの…」
光は梨央と良く似た切れ長な瞳で流し目をしながら、庭の白樺の木陰に向かう。
「フフ…キスくらいでそんな顔をして…。やっぱりbebeちゃん…リセではこんなの挨拶みたいなものよ」
梨央は足早に光を追いかけ、背中から抱きつく。
「赤ちゃんじゃないもの!こんなキス、平気よ」
ムキになる梨央の腕を握りしめ、光は妖しい笑みをその唇に浮かべながら誘うように振り返る。
「…じゃあ、キスして…梨央さんから…できるかしら…?」
梨央は一瞬たじろいだが、
「…いいわ…お姉様…」
つま先立ちになりながら、ぎこちなく光の艶やかな唇に唇を重ねた。
二人の長い睫毛が触れ合いそうになる。
光の婀娜めいた眼差しに魅入られたかのように梨央はうっとりと陶酔の表情を浮かべる。
「…どう?光お姉様…」
光はにっこりと笑い、梨央の柔らかく滑らかな頬をつっつく。
「…まだまだだわ。それじゃ本当にbebeちゃんのキス」
梨央は頬を膨らませて怒る。
「ひどい!お姉様!」
光は楽しげに笑い、釣られて梨央も笑う。
二人は木陰に倒れこみ、仔犬がじゃれ合うように抱き合いながら、笑い転げる。
…少し離れた東屋で、お茶の支度をしていた月城は一部始終を固唾を呑んで見守っていた。
その視線を光はすかさず捉え、月城に妖しげに微笑みながら、梨央にゆっくりとのし掛かる。
「…可愛い梨央さん…食べてしまいたいわ…」
梨央は無邪気に笑い続ける。
「…や…お姉様…くすぐったいわ…!」
光は陽気に梨央に悪戯をしかける。
梨央の屈託のない笑い声を聞きながら、月城は動揺を隠してお茶の準備を続けた。
少しでも光の姿が見えなくなると、
「光お姉様はどこ?」
と不安げに屋敷中を探し回る。
光の姿を見つけると、離れ離れだった母親と再会した子供のように熱烈にしがみつく。
「お姉様!…黙ってどこかに行かれたら嫌よ」
拗ねる梨央を、光も可愛くて仕方ないようにその美しい頬を撫でて抱きしめる。
「甘えん坊さんね。梨央さんはまだまだbebeちゃんだわ」
と揶揄うように笑う。
「赤ちゃんじゃないわ!…梨央はもう14歳よ。来年は15歳…」
むっとしながら抗議する梨央の唇を、光は軽く啄むようなキスで封じ込める。
梨央はその切れ長で澄んだ美しい瞳を見開き、瞬時に頬を染めて両手で唇を覆う。
「…ひ、光お姉様!な、何をなさるの…」
光は梨央と良く似た切れ長な瞳で流し目をしながら、庭の白樺の木陰に向かう。
「フフ…キスくらいでそんな顔をして…。やっぱりbebeちゃん…リセではこんなの挨拶みたいなものよ」
梨央は足早に光を追いかけ、背中から抱きつく。
「赤ちゃんじゃないもの!こんなキス、平気よ」
ムキになる梨央の腕を握りしめ、光は妖しい笑みをその唇に浮かべながら誘うように振り返る。
「…じゃあ、キスして…梨央さんから…できるかしら…?」
梨央は一瞬たじろいだが、
「…いいわ…お姉様…」
つま先立ちになりながら、ぎこちなく光の艶やかな唇に唇を重ねた。
二人の長い睫毛が触れ合いそうになる。
光の婀娜めいた眼差しに魅入られたかのように梨央はうっとりと陶酔の表情を浮かべる。
「…どう?光お姉様…」
光はにっこりと笑い、梨央の柔らかく滑らかな頬をつっつく。
「…まだまだだわ。それじゃ本当にbebeちゃんのキス」
梨央は頬を膨らませて怒る。
「ひどい!お姉様!」
光は楽しげに笑い、釣られて梨央も笑う。
二人は木陰に倒れこみ、仔犬がじゃれ合うように抱き合いながら、笑い転げる。
…少し離れた東屋で、お茶の支度をしていた月城は一部始終を固唾を呑んで見守っていた。
その視線を光はすかさず捉え、月城に妖しげに微笑みながら、梨央にゆっくりとのし掛かる。
「…可愛い梨央さん…食べてしまいたいわ…」
梨央は無邪気に笑い続ける。
「…や…お姉様…くすぐったいわ…!」
光は陽気に梨央に悪戯をしかける。
梨央の屈託のない笑い声を聞きながら、月城は動揺を隠してお茶の準備を続けた。