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背徳のディスタンス
第2章 教育担当
「女性社員からわりと人気なんだけどねー日野崎くん。奈々はやっぱり興味なし、か」
「……ない」
「もったいないっ。教育担当なんていう、あーんなこともこーんなこともできる美味しい立ち位置なのにっ」
「……なんなのよ、その卑猥な言い方。仕事教えてるだけだから」
「おっ? あーんなこととこーんなことで、卑猥な方面に結びつけられるようになったんかい?」
奈々は無言で穂波を睨み付ける。
「冗談だってば」
「もう」
奈々はため息をついた。穂波とは実は大学からの知り合いだった。会社の説明会で偶然会い、いろいろと企業の情報交換をした。人懐っこく話しかけてきたのはもちろん穂波の方。
同じ場所に就職が決まり、なんだかんだと一緒にいる。穂波は交遊関係が多いが、一番仲がいいのは自分だという確信が、奈々にはあった。性格は真逆でも、だからこそ続く友情もあるのかもしれない。
ランチを食べ終え、奈々は望のもとに向かった。
「お待たせ」
「あ、はいっ」
望もすでに昼は終えていて、同期の男の子たちと雑談をしていた。
奈々の声に、ぴしっと背筋を正して返事をする。