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背徳のディスタンス
第2章 教育担当
それから席を立ち、奈々の方へと歩み寄ってきた。
「で? 具体的にどういう時の対応がわからないの?」
「あ、えっとーー」
望からの説明を受け、納得する。確かに返答に困りそうな内容だ。自分も昔、同じようなところで躓いた覚えがある。
奈々はいくつか対応の例を話した。仕事上のマニュアルとは少し違うが、奈々自身が経験して得た対処法だ。望は真剣な顔で話を聞きながら、律儀にメモを取る。
「こんなところよ。お客様のタイプによって取るべき対応は変わるけど、それは経験を積まないとわからないと思う。だから、まずは触りだけ」
「すごい、ありがとうございます!」
興奮した面持ちで顔をあげ、そう礼を言う。屈託のない満面の笑みに、つい見とれそうになってしまい奈々は内心動揺した。
穂波のいう通り、望は性格だけでなく、顔もいい。少したれ目な二重。色は白いけれど、血色のいい肌。小顔で華奢な、いわゆる年上の女性から可愛がられそうな顔立ちだ。いつも笑顔で愛想がいいのもあり、間違いなくモテる。
奈々自身は彼をそういう対照に見たことはなかったが、異性が苦手な奈々も、望には気を許している自覚があった。