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背徳のディスタンス
第2章 教育担当

 奈々の両親は性に対しても厳しかった。小学生の頃は、男の子と遊ぶことさえ禁じられていた。中高と女子校に通わされ、二十時の門限を五分でも過ぎれば電話が来る。大学に入ってからもあまり異性と関わることなく過ごした。人見知りに加え、六年女子校で過ごしたブランクは大きい。一番多感な思春期を、家と学校の往復、塾への道のりだけで過ごしたのだから。
 そんな奈々も、友人に誘われ何度か飲みに参加したことはあった。ほとんどの場合一次会だけで抜けるけれど、強引に二次会のカラオケまで連れていかれたこともある。
 そこで話すようになった一つ上の先輩と、奈々は付き合った。初めての彼氏。浮かれた様子に気付いた母に探りを入れられ、あっさりとバレた。
 案の定両親は激怒。特に父の顰蹙を買い、隠し持っていたプリクラも目の前で捨てられた。スマホも取り上げられ、大学生になっているにも関わらず、再び門限が復活した。
 おかしい。奈々も厳しすぎる両親に不満がなくはなかったが、夢中だった相手と無理やり引き離されたことで、その不満が爆発してしまったのは間違いない。
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