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新月の闇 満月の光
第9章 流転の兆し
俺が自分のデスクに戻ると、パソコン横のデスクに、ダンボールが数箱乗っかっていた。
蓋を開き、中を覗く。
由芽宛のファンレターだ。
「そっか…… 。そういゃ…… 月末だったな」
何気に呟いて(独り言が最近増えたよなぁ、歳かな)箱から中身を出して、チェック。
以前、『Yume』を愛し過ぎた過激なファンからの贈り物のせいで、由芽が気絶した為、それ以来、俺が、内容チェックして、彼女に害の無い物だけ渡している。
因みに、マスかいて射精したモノを瓶詰めにして送って来るってのは、日常的に有る行為だ。
慣れと言うか、何というか、大体それと解るモノは、何とはなく解る訳で、そんな代物はどんどん捨てて、手紙は一つ一つ開けて(中身は読まない)、裸でM字開脚する女の顔が、『Yume』になってるガビガビの合成写真をシュレーダーに掛ける。
あぁ、んっとに、ばっちい………… 。
勿論、純粋な応援文で満たされているファンレターのが八割を占めてる。
一割が悪口で、残り一割が、過激なセックスアピールと言う訳だ。
勿論、由芽もそんなファンレターの存在は、承知している。
何せ、初日にぶっ倒れた位だからな。
ある意味、人気者の証拠なんだろうが、こんな物、見せないに超したことは無い。
って言うか、本当は、人の女をおかずにしている奴の顔を、二目と見れないぐらいに叩き潰してやりたい。
そんな衝動にかられるが、名前も住所も無いモノに、報復は不可能。
だからせめて此処で止める。
んっとに、きしょいし、きたねーし、神経疑るわ。
カシャンと、ゴミ箱が鳴る。
其処に、累々と増えていく無数の瓶。
ん?
今回は、やたら多く無いか?
そう思って、はたと気付く。
あぁ、そうか、あのCM………… 。
その反響がこんな形で現れるとは、誤算だ。