この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
新月の闇 満月の光
第9章 流転の兆し


「只今戻りましたーっ! 」




パーティションの向こう側から元気が有り余った男の声が響いた。


木坂が、帰社して来たようだ。




「あ! 先輩っ! 先輩にお客様ですっ! エントランスでバッタリ会ったんですよ」




ふっと過ぎった嫌な予感。


当たって欲しく無かったのに………… 。


こういうのに限って当たる。




「おはよう御座います、『mahiro』さん」




にこやかに、微笑みを端整な顔に浮かべながら木坂の後ろから現れた男。


そいつを見て嘆息する俺。


マジで来やがった、こいつ。




「本当に、『Yume』さんのマネしてたんですね。うん、黒髪、黒目だと本当に印象が変わりますねぇ。これじゃあ言われないと、誰も『貴方』だと気付かない ………… 」


「当たり前だ。気付かれないようにやってるんだから ………… 」




俺の言葉に、合坂が『解らない』と、言うふうに首を傾げる。


理解出来ないのだろうな。


奴には。


うん、しなくていい。


これは、俺の事情だから。


首を傾げながら合坂が目にしたのは、デスクの上の手紙とプレゼント。


そして、3つ並んだダンボールの中の、大量のビンやら紙屑やら何やら。




「それって、『Yume』さん宛てのファンレターですか? 」


「そう。月末だから分類してマトモな物だけ『Yume』に渡してる」




そう言う俺に、合坂が「結構来てるんですね」なんて、呟いていた。




「この、3つのダンボールは? 」


「ただのゴミだ。分別して出してる」


「ビン、カンがやけに多く無いですか? 」


「おい、止めとけ」




そう言った奴は、俺の忠告を聞かずにビン、カンのダンボールを一瞥して、ゲッとヒキガエルが潰れるような声を発した。




「あっ!? 合坂さんっ! 」




中身を知ってる木坂も、気付いて声を掛けたが、時既に遅し。


だった。

/115ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ