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新月の闇 満月の光
第4章 動き始める時間

貴方を闇から引きずり出す、二度目の試み。




「さぁ、始めましょう。私は、心底真紘さんを愛しているから、貴方の子供を宿し育み、貴方との家庭を護る心積もりが有るわ。だから、貴方が少しでも、お姉ちゃんじゃなくて、私を見てくれていたら嬉しい…………」




女の私が此処まで言ったのよ。


はぐらかさないで、貴方の気持ちを教えて欲しい。


『目は口ほどに物を言う』私は、そのことわざを信じて、貴方の瞳を覗き込んだ。


揺れる貴男の瞳が、ふっと止まった。




「柚芽……。俺と亜依の間に夫婦の営みはたったの一度も無い。俺は、見てくれがこんなだから、経験豊富に見えるかもしれない。けど、俺は愛した女しか抱かない主義だから」




私は、目を見張る。


それは、愛されてるって、思って良いって、事?




「ねぇ、真紘さん……。私の事、好き?」




私の言葉に、貴方は、寂しそうに笑った。




「柚芽……。ごめん、言えない……。今は、言えない。何時か言うから、待っててくれるか? 」




──好きだ──




声に成らない声が、真紘さんから発せられた。


唇だけを動かして。


読み取れた貴方の聲。


私は、真紘さんの言葉に、ポロリと一滴、涙を零した。


これで、貴方と一緒に頑張れる。


わたし…………。


頑張れるから。


貴方の唇が、私の涙を捉える。




「柚芽…………」




そして貴方は、律動を再開し始めた。


あたしは、甘い声を上げる。


どことなく、貴方の全てが優しかった。



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