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新月の闇 満月の光
第6章 御劔家と如月家 (みつるぎけときさらぎけ)
「省吾さん、彩花、私が気に掛けているのは、御劔家の事でも如月家の事でも無いの。あの子がまた有名になって、海外にまでその名が轟く事に成った時、『あの人達』が現れないかどうかって事なのよ……」
お母さんの顔が憂いを帯びていた。
『あの人達』?
はて、何の事だろう。
お母さんが立ち上がり、奥の両親の寝室に消えると、暫くして古めかしいアルバムを携えて帰って来た。
初めて目にするアルバム。
此処に何が?
「もし、万が一、万が一よ。『あの人達』が現れたとして、真紘の心を護れるのは、私達家族と結芽さんだけに成るわ。万が一の事態は、真紘も理解してる。だからあの子は、芸能界を早々と引退したの。逸れを又始めるって、逸れがあの子の『意志』だって、お母さん、確認したわ。だから…………」
お母さんは、アルバムをパラパラとめくって、あるページをあたし達に見せた。
其処には、セピアに色ぼけた写真。
そして、とても似通った男女。
椅子に座る女の後ろに立つ男を見て、あたしと旦那は驚愕した。
其処に写るのは、あたしの弟。
あたし達の義息子。
両親の息子。
真紘だった。
うううん、真紘そっくりな男。
もとい、真紘がこの男にそっくりなんだ。
「だから、あなた達も覚悟を決めて。もしもの時は、わたくし達が2人を守るのよ。でなければ、二度と真紘とは、会えなくなってしまう事でしょう」
そう告げる母に、あたし達は、呆けた顔しか見せられなかった。