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新月の闇 満月の光
第7章 ルビーとエメラルド
真紘side💎
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朝、社長と一緒にスタジオに入れば、何故か結芽が合坂と和やかに話していた。
「なんだよ……あれ? 」
思わず口に出してぼやく。
仲良く身体を寄せあって話す2人に、嫉妬心を覚えたのが、実際の話なのだが、隣にやってきた木坂がいち早く反応して話しかけてきたが、違う意味に取ったらしい。
「あっ、先輩!? 思ったより早いお帰りでしたね。かなり慌てて帰って来ました? なんか、髪降ろしてるだけでイメージ、凄く違いますよね 」
なんて、緩い言葉を返して来る。
「あぁ、ん」なんて曖昧に返事を返して、俺は2人を見据えた。
2人共、俺に気付かない。
社長が、ポンと肩に手を置いて『落ち着け』と、俺にしか解らないように言った。
えーえー、落ち着いてますよ。
思いっきり、喜怒哀楽、削ぎ落として能面の様ですが、かろうじて、正気を保ってますよ。
社長が、つかつかと合坂と結芽の所まで歩く。
強いヒールの音に、撮影準備に取り掛かっていたスタッフの手が止まった。
「やぁ、おはよう。皆さん 」
はっきりと透る、社長の声。
臆する事なくスタスタと、2人の元に歩み寄る。
あぁ、怒ってる、怒ってる。
何せ、社長に取って、合坂のやった事は、暴挙以外の何物でも無い。
周りの空気がピンと張った。
そりゃ、そうだろうね。
姉貴は怖いよ。
「やぁ、合坂くん。もう、『Yume』と打ち解けたのかね? 」
「あぁ、『シャングリラ』の社長さん。この度は色々とご無理を言いまして………」
悪びれない合坂の声に、社長のこめかみがピクピクと動く。