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新月の闇 満月の光
第7章 ルビーとエメラルド
「あぁ、本当に無理強いをされたよ。『mahiro』からオッケーを貰ってたのにキャンセルしなきゃならなかったんだからな……」
社長が溜め息を吐きながら、合坂を睨むが、本人はどこ吹く風だ。
その上、世間知らずなのか、恐ろしい事を口にした。
「社長さん、昔ブレイクしたおじさん起用するより、今、話題沸騰中のイケメン俳優使う方が話題が取れますよ。ね。」
面食らった。
こいつ、自分の事、『 今、話題沸騰中のイケメン俳優 』って言いやがったよ。
はは…………。
ある意味凄いわ。
突き抜けてる。
「先輩、世の中には、あんな突き抜けた人が居るんですねぇ…………」
「って言うか、お前はああなるなよ……」
「まぁ、俺は大丈夫っす。あそこまで自分に自信、無いっすから」
そう言う木坂にふっと笑みが零れる。
そうこうしている内に、社長達の会話に進展が見られた。
「合坂、そう言い切って、『mahiro』を退けた限りは、君の働きを見せて貰うよ。『mahiro』共々ね。せいぜい『mahiro』にけちょんけちょんに貶されないよう、気張るんだな。あいつは天才だ。君が『間違い』を犯せば罵声が飛んで来ると思え 」
「は? 」
社長は、驚く合坂を尻目に監督の横へと歩いて行く。
「と、言う訳だ。古寺さん。『mahiro』は来てはいるが傍観者に徹するそうだ。驚かせて済まなかった」
「そっか、10年ぶりに『mahiro』くんと仕事が出来ると思ってたんだけどね。合坂くん、責任重大だね」
うん、古寺さん。
俺も貴方と仕事をするの、楽しみにしてましたよ。