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新月の闇 満月の光
第7章 ルビーとエメラルド
真紘side🍃
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「あぁ~、もう無理! 駄目だ。我慢出来ない!! すいません、ごめんなさい『mahiro』さん。俺、嘘付いてましたっ! 」
声がしたのは結芽の後ろから。
まるで切羽詰まった物言い。
俺が糾弾し、怒鳴りつけた男。
何かこいつ、雰囲気、全然ちがくね?
「うわっ……。本当に『mahiro』さんなんだぁ……。俺っ! マジで『Yume』さんのファンなんですけど、『mahiro』さんのファンでも有るんです!! 」
こいつ……。
何なんだ。
俺は、変貌を成し遂げた合坂を睨み付ける。
合坂は、満面の笑みをイケメンの顔に貼り付けている。
なんか、気色悪い。
もしや、アレ総て、演技?
だとしたら、コイツ意外とやるかも…………。
「俺、マジで『mahiro』さんの大ファンで、出てた映画、ドラマ、雑誌。総てコレクションしてるんです!! この業界に入ったのだって、『mahiro』さんに憧れたからで、演技も、リスペクトしてるんですよ」
「………………………はぁっ!? 」
思わず、変な声を上げてしまったよ。
其処までするか?
普通。
「なぁ、合坂。此までの『最低な演技力のクソ野郎』が役柄だとしたら、そんな事をしたのは何故だ? 企画段階から強引に仕事を横取りした理由も。裏に誰か絡んでいるだろう」
鼻息荒くまくし立てて言っていた合坂に、俺は至って冷静な口調で問い掛けた。
義兄が絡んでいるのは明白なんだ。
其処は、暴露してたから。
でも、目的が解らない。
単純に、俺を引っ張り出す為なら、こんな手の掛かる事はしない筈だと思うんだ。
多分。
……。
…………。
……………………。
嫌、嫌、嫌。
まてよ、まさか。
あり得た?
な、訳無いよな、余りにも単純明解過ぎる。