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新月の闇 満月の光
第7章 ルビーとエメラルド
「ひっどい言い方だなぁ。でも、当たってるからしょうがないよね、うん」
しゃべり口調すら変わっている。
この変貌の仕方。
見た目とのギャップ。
「無理してこの仕事取ったのは、頼まれたせいも有るけど、俺が貴方に会いたかったから、ってのが俺自身の理由かなっ。貴方が、確実に現れるようにするには、こうするのが一番だって言われたんだ。ある人に」
「成る程ね。それが御劔 省吾だった訳だ」
合坂が、目を見開いた。
多分、予想して無かったんだろうな。
この名を出される事を。
「御劔のおじさま? 何が有ったの? 」
会話を静かに聞いていた、結芽が不思議そうに呟いたのを、俺と合坂の2人で聞き取る。
「えっ、お2人共、知り合い? 」
確かに、合坂が驚くのも無理は無い。
俺のプロフィールは、全て謎。
知るのは、一部の関係者のみ。
後輩の木坂すら、俺が『mahiro』だと言う事を知らなかった。
別に、重要機密って大層な物では無いのだが、仕事(マネージャーの)がやりにくくなっては元も子もなさそうだったので、隠していただけだった。
な、大した事無いだろう。
ま、もう一つ理由が有るっちゃ有るけどね、それも万が一って事だから。
「俺の本名ね、御劔 真紘 ってんだよ」
「えっ、御劔………… 」
合坂の目が尚一層、見開かれた。
「そ、御劔 省吾は、俺の親父 」
実の父親では無いが、合坂に其処まで言う必要は無いだろうと、俺は判断した。