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新月の闇 満月の光
第7章 ルビーとエメラルド
「え、えっ、えぇ~!? ホントに!? マジでっ!! 」
驚くのは無理も無い。
外人顔、姿の俺だ。
結び付けるのには、無理が有る。
「こんな事に嘘を言って何に成る。誰得にもならんだろう」
ぞんざいに物を言い、これ以上の自分事は証さない。
「はぁ~、本当にそうなんだ…………。でも、御劔さん、何でこんな手の込んだ事したんだろう? 」
そう、そうなんだよなぁ。
俺がこのCMに出演するのは解っていた筈なのに、義兄は、何故こんな回りくどい事をしたんだ?
もしかしたら、事は至極単純なのかもしれない。
「簡単な事だよ。『話題性』の一語に限る。このCMに君達3人を起用したかったんだ。確実にね」
やっぱり、そんな事か。
「てっきり、出させたく無いんだと思ってたよ」
俺の言葉に、スタジオの入口から現れた義兄がにっこりと笑っていた。
「違う、違う。真紘は、『Yume』の為なら否応無く出演するだろう。僕の目当ては、合坂くんだよ。『mahiro』がすんなり出て来たんでは、合坂くんが引っ込んでしまう。『mahiro』さんを差し置いてなんて無理とでも言ってね。それに2人共使うには重役連中が予算オーバーって言うし………… 」
「当たり前だろう。俺は兎も角、この2人のギャラだけでいくらだと思ってる 」
「そうなんだよ。真紘は『Yume』のマネージャーだからノーギャラとして、」
「ちょっと待ちなさい、省吾。何時、誰が『mahiro』がノーギャラって言った? 」
何気に『ノーギャラ』の言葉が聞こえたのだろう、社長が首を突っ込んで来た。