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新月の闇 満月の光
第7章 ルビーとエメラルド
「先輩!! 駄目ですっ!! 」
咄嗟に俺を止めたのは、木坂だった。
冷静になれと、あいつの目が訴えていた。
気付かれたか?
上手く隠してたつもりなのに、こいつ、良く人を見てる。
俺は、息を付いて合坂を掴んでいた手を離した。
結芽との事を突っ込まれると、冷静さを欠くこの状況、何とかしなきゃならない。
結芽にも、回りにも、迷惑この上ない。
キョトンとする合坂に、「すまん」と、一言呟いて、俺は、椅子に腰掛け直した。
結芽との関係性を、問われただけなのにな。
「俺こそすいません。調子に乗り過ぎました。『mahiro』さんは、総てを謎にしていたのに、俺……… 」
謝る必要の無い合坂なのに………。
こいつ、本当は、根が良い奴なのかも知れないな。
「あんたは謝んなくて良い。全部俺の問題だから」
総てを拒絶する言い草。
仕方が無い。
これが俺なんだから………。
「真紘、今日はもう帰れ。んで持って、ゆっくり寝ろ」
言ってくる言葉は、義兄のもので強い言い方だが、優しい。
「あぁ、そうさせて貰う。お疲れ様」
そう言うと、俺は立ち上がる。
「あ、私も……… 」
「え~っ、『Yume』さんまで帰るの? 」
結芽の帰るコールに合坂が反応して、不満げな声を出した。
あぁ、苛つく。
この理不尽な狂気、これが、病なんだ。