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新月の闇 満月の光
第8章 夢一夜
キスをしたまま膝裏を掬われて、お姫様抱っこでベッドへと運ばれる。
降ろされたベッドは大きくて、深くは沈まない。
適度な硬さで、膝立ちしても沈み過ぎない所が気が利くと言うか、なんと言うか。
スプリングだって軋まない。
ただ、寝返りを打つ程度では。
なんて事を考えていれば、強く抱き締められて、浅い所で戯れていたキスが、深く成った。
真紘さんの口内に消えてゆく、私の声。
息苦しさが、快感へと変わった証拠だ。
それが、真紘さんにも知れてしまった。
私を食らい尽くす勢いで蹂躙していた真紘さんの舌が、不意に口内から去って行き、それと同じくして唇も離れて行く。
あれだけ舌を絡ませあえば、繋ぐものもある筈だろうに、私達の間には、そんな無粋なものなど、無い。
有るのは、艶やかに煌めく互いの唇。
真紘さんは、それすら妖艶にペロリと舐めてしまう。
その仕草に、胸がどくりと高鳴った。
「また考え事か? 結芽。随分と余裕が、有るじゃないか」
と言う真紘さんの問い掛けに、
「ん~、ベッドがね… 」
と、言いかけて、私は言葉を止めた。
床ドンもとい、ベッドドンしている真紘さんが、片手でネクタイを外す姿を見て、萌てしまう私。
照明に反射して、キラキラと輝く真紘さんの銀の髪。
其れがパサリと彼の左目に掛かり、私は気付いた。