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新月の闇 満月の光
第8章 夢一夜
こんな、背中に羽が6羽付いていても可笑しくない大天使(腹黒いけど)の様な人に、私(酔いつぶれた女)、お姫様抱っこされちゃったのよね。
かなり目立ったわよね。
そう思えば何だか急にむず痒くなる。
普段仕様の真紘さんなら、ただのイケメンで終わっちゃうんだろうけど、素の真紘さんなら違った意味で目立つと思う。
神秘的な美しさ。
そんな形容が似合う。
「はぁ…………。また、考え事? 一度、結芽の頭ん中見てみたいよ…… 」
「私の頭の中? だ、駄目ょ。ダメダメ!! 」
妄想が暴走しまくってる私の頭の中、見られた暁には、軽く死んじゃえますから。
だから、私。
「私の頭の中は、真紘さんでいっぱいですから、御心配なさらずに」
と、にっこり笑みを浮かべて言っておいた。
妄想ばかりですけども。
私の言葉に半信半疑な貴方は眉根を寄せている。
そんな顔も、愛しくてたまらない。
私の心に鐘が在るとしたら、それは紛れもなく喚起の音色を奏でていて。
私は、彼の首に腕を絡めると、
「大好きよ、真紘さん。愛してるわ」
と、囁いた。
愛の言葉に、彼からの返信は無い。
けれど、切なく揺れる瞳が、多くを語っていた。
真紘さんはきっと、言葉ではなく、態度で物語ってくれる。
私にはそれが解るから、今は…………。
其れだけで良い。
貴方が私に触れて、感じてくれる。
それだけで、解るから…………。