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第10章 太陽は静寂を包む

キラキラした女の子達が側にいる事なんて、大した事じゃないって思える様になった。

あんなにカッコいい人を放っておく女の子は正直見る目ないなって思うくらい。

皆んなに自慢したいくらい透はカッコいい。

だけど。

唯一胸を騒つかせるのは透の名前を呼ぶ事。

どんな声で、どんな風に透を呼んでいるのか。

それを透がどう聴いているのか。

呼びたい。

蓋をした音を取り出して、一番愛しい人の名前を紡げたら。

「透のそばにいることは大変だろうが、君なら大丈夫だろ」

吉信はそう言ってニカッと笑った。

何の根拠もないのに、妙に安心する笑顔だ。

「恐くなったらすぐ離れた方がいいよ」

大人っぽい然の言葉もどこかにちゃんと引っかかる。

透の事を知ってる二人だから的を得ているのだ。

「彼奴は君なら、何をどうしても好きでいるだろうよ」

別れ際に放った吉信の言葉が勇気に火を灯す。

お風呂に促されて、身体を隅々まで洗って湯船に浸かる。

ふうっと水面にさざ波を立ててみてから、そっと記憶を辿った。

「…ぉ…と…お…ぅ…」

これくらいの音の大きさだろうか。

ゆっくり音の形を思い出してみる。