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Vesica Pisces
第12章 太陽は静寂を愁う
『猛さんて素敵だね』

はぁっ?!

「お前ああいうのがいいわけ?」

『落ち着いてて、オトナって感じ』

無邪気に笑顔を見せる伽耶。

「そーいや嘉登も年の割に落ち着いてるもんな、へー知らなかった」

『透もいつかああなるでしょ?』

「ならねーよ、どーせ俺は落ち着きのねぇ…っ!」

そこまで言って伽耶の仕掛けた罠にまんまと嵌った事に気付いた。

横にいる伽耶を見ると頬がふっくら上がっていた。

『ヤキモチ妬いた?』

チッと舌打ちをして、覆い被さるように伽耶をソファーに押し倒した。

「妬いたって言ったらどーすんの?」

伽耶の視線はきょろっとイタズラに外される。

「ンーッ…!」

生意気な唇をガッツリ塞いでやった。

肘で伽耶の肩をホールドして、両手で頬を抑えこんでのキス。

苦しくなってきたのか伽耶の手がソファーを叩く。

「…っは、ぁ…」

ちょっと涙目の伽耶を見下ろして、鼻で嗤ってやる。

「余所見、禁止」

伽耶はめいいっぱいの反抗なのか唇を尖らせたけれど、その唇にすらキスを落とした。

腕を引いてソファーから起こすと、そのまま抱え上げてベッドへと戻る。

伽耶はドアノブを回してすんなりと中へ入った。


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