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Vesica Pisces
第12章 太陽は静寂を愁う
ベッドに転がったのに、伽耶はすぐ座り直した。
『猛さんと何歳離れてるの?』
「まだ猛の話かよ…そんなに知りてーの?」
うんうんと頷く伽耶の目は好奇心で満ちていて、しょうがなく体を起こした。
「猛は12歳上、ちなみに薫とは10歳、親が死んだ時には二人とも進学決まってたからな、北海道に引っ越さずに親戚の家に居候したんだよ」
『寂しかった?』
「別に、北海道楽しかったからな、…すぐ忘れた」
『嘘』
「…お前は?あー溺愛の兄貴がいたな」
「とーう」
こう言う時に名前呼ぶのはずりぃだろ。
伽耶は真剣な眼差しで真っ直ぐ見つめていて、ふっと表情を緩めるとその手でぎゅっと抱きしめてきた。
伽耶の胸の中にいるなんてあり得ないけど、塞がれた視界もその温かさも全部が今は心地よくて目を閉じてしまった。
何も聞こえないこの空間で、猛や薫と空港で見送られたあの日を思い出す。
“迎えに行くから待ってろよ”
口を揃えて言ったのはそんな台詞だった。
でも、迎えを待たずして俺は更に遠くへ出掛けてしまった。
電話で話す猛の一言目はいつも“大丈夫か”だった、いつまで子供扱いするんだろーな。
髪を撫でる伽耶の手が忘れていた記憶をそっと手繰り寄せてくれる。
『猛さんと何歳離れてるの?』
「まだ猛の話かよ…そんなに知りてーの?」
うんうんと頷く伽耶の目は好奇心で満ちていて、しょうがなく体を起こした。
「猛は12歳上、ちなみに薫とは10歳、親が死んだ時には二人とも進学決まってたからな、北海道に引っ越さずに親戚の家に居候したんだよ」
『寂しかった?』
「別に、北海道楽しかったからな、…すぐ忘れた」
『嘘』
「…お前は?あー溺愛の兄貴がいたな」
「とーう」
こう言う時に名前呼ぶのはずりぃだろ。
伽耶は真剣な眼差しで真っ直ぐ見つめていて、ふっと表情を緩めるとその手でぎゅっと抱きしめてきた。
伽耶の胸の中にいるなんてあり得ないけど、塞がれた視界もその温かさも全部が今は心地よくて目を閉じてしまった。
何も聞こえないこの空間で、猛や薫と空港で見送られたあの日を思い出す。
“迎えに行くから待ってろよ”
口を揃えて言ったのはそんな台詞だった。
でも、迎えを待たずして俺は更に遠くへ出掛けてしまった。
電話で話す猛の一言目はいつも“大丈夫か”だった、いつまで子供扱いするんだろーな。
髪を撫でる伽耶の手が忘れていた記憶をそっと手繰り寄せてくれる。