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Vesica Pisces
第12章 太陽は静寂を愁う
ヤラシいことしたくてベッドに来たはずなのに、この空気からどうやって方向転換すればいいわけ?

ふんわりした胸の間から顔を上げると、先に動いたのは伽耶だった。

目が合うよりも先に唇が重なる。

一瞬の子供みたいなキス。

『顔真っ赤だよ』

ばーか、お前の方が赤いんだよ。

覆い被さる様にベッドに押し倒すと、じっと目を見つめてゆっくり近づいていく。

ゆっくり、ゆっくり、秒速1ミリくらいで。

伽耶は時々目を逸らすけれど、戻って来てもじっと見つめてやった。

「…っ…ゃ…」

「お前があんな事するからだろ?どーしてくれんの?」

「ぁ、に…?」

答えるより先にシたいんだよ。

舌先を出して見せると、伽耶にも通じたのか僅かに開いた唇の間から赤い舌先がのぞいた。

吸い付くようにそれを絡め取ったのが合図かのように、貪るようなキスが続いた。

腕の間に伽耶を囲い込んで、息が続く限り唇を重ねる。

伽耶の手がTシャツを強く掴んで息苦しさを訴えるけれど、そんなのは無視してやった。

それくらいの事をしたのだと、伽耶のあの真っ赤な顔で恥じらんだ破壊力はこんなもんじゃないと知らしめたかった。

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