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Vesica Pisces
第13章 太陽は静寂を零す
胸ポケットからスマホを取り出して耳にあてる姿をつい見つめてしまう。
英 侑一、2年前に別れた元彼。
同じ会社の海外事業部で働いていて、2年前転勤でロス勤務になった。
それと同時に別れた。
「ごめん、呼び止めといてもう行かなきゃ、来週から宜しくな」
会釈も、笑顔も取り出せないまま侑一を見送ってしまった。
カフェオレを一口飲むと、ガムシロップを入れたはずなのに苦く感じた。
侑一と出会ったのは通勤電車だった。
突然止まった電車の状況を筆談で教えてくれたのが侑一だった。
後から聞けば圭介の同期で、聴覚障害の事も知っていての筆談だったと。
ストレートに気持ちを伝えてくれる侑一と付き合った日々は本当に楽しくて、毎日があったいう間だった。
社内でこっそりキスしたりなんて事もドキドキした。
あんな風に別れなければ…。
頭を振って過去を追い出すと、到着ロビーへと向かった。
早く透に逢いたい。
続々と出てくる人並みに透を捜すけれど、人影はぽつりぽつりとなっても透は出てこなかった。
飛行機は到着してるのに。
つま先を見つめていると、陰ったと思った瞬間ふわっと体が浮いた。
英 侑一、2年前に別れた元彼。
同じ会社の海外事業部で働いていて、2年前転勤でロス勤務になった。
それと同時に別れた。
「ごめん、呼び止めといてもう行かなきゃ、来週から宜しくな」
会釈も、笑顔も取り出せないまま侑一を見送ってしまった。
カフェオレを一口飲むと、ガムシロップを入れたはずなのに苦く感じた。
侑一と出会ったのは通勤電車だった。
突然止まった電車の状況を筆談で教えてくれたのが侑一だった。
後から聞けば圭介の同期で、聴覚障害の事も知っていての筆談だったと。
ストレートに気持ちを伝えてくれる侑一と付き合った日々は本当に楽しくて、毎日があったいう間だった。
社内でこっそりキスしたりなんて事もドキドキした。
あんな風に別れなければ…。
頭を振って過去を追い出すと、到着ロビーへと向かった。
早く透に逢いたい。
続々と出てくる人並みに透を捜すけれど、人影はぽつりぽつりとなっても透は出てこなかった。
飛行機は到着してるのに。
つま先を見つめていると、陰ったと思った瞬間ふわっと体が浮いた。