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Vesica Pisces
第14章 太陽は静寂を切り裂く
木曜日、仕事終わりで駆けつけた伽耶と未知と和可菜、そして嘉登。
然がテレビの隅に映る度にきゃーきゃーと歓声をあげた。
「然、いいとこまでいけそう?」
「さぁね」
風向きもコンディションも抜群に良いとは言い難いけれど、それは誰にも等しい条件だ。
吉信の顔は然よりも険しい。
予算を勝ち抜いた16名のうち、然は9番目だ。
ソファーに座り、画面いっぱいに繰り出されるエアーを見つめる。
技の難易度がわかりにくいのか、未知らはエアーの度に嘉登に解説を強請っていた。
伽耶はといえば、手をぎゅっと握り締めて、画面に釘付けになっている。
7番めの選手が態勢を崩し、8番目も思った様に跳べなかったのか悔しそうに肩を落とす。
「然くんっ!!」
固唾を飲んで見守る。
スタートは悪くない、高さもある。
でも、焦りが見える。
重心がいつもと違う。
最後のエアーに入る瞬間、タイミングがズレているのは明らかで、無理矢理勢いをつけた然の身体はバランスを崩し、バンクに落下した。
「ぜ、んっ…!!」
伽耶が身を乗り出す。
吉信が駆け付けるのが映り、然は倒れたままだが反応していた。
テレビはすぐ次の選手へと移り、俺はスマホを手に席を立った。
然がテレビの隅に映る度にきゃーきゃーと歓声をあげた。
「然、いいとこまでいけそう?」
「さぁね」
風向きもコンディションも抜群に良いとは言い難いけれど、それは誰にも等しい条件だ。
吉信の顔は然よりも険しい。
予算を勝ち抜いた16名のうち、然は9番目だ。
ソファーに座り、画面いっぱいに繰り出されるエアーを見つめる。
技の難易度がわかりにくいのか、未知らはエアーの度に嘉登に解説を強請っていた。
伽耶はといえば、手をぎゅっと握り締めて、画面に釘付けになっている。
7番めの選手が態勢を崩し、8番目も思った様に跳べなかったのか悔しそうに肩を落とす。
「然くんっ!!」
固唾を飲んで見守る。
スタートは悪くない、高さもある。
でも、焦りが見える。
重心がいつもと違う。
最後のエアーに入る瞬間、タイミングがズレているのは明らかで、無理矢理勢いをつけた然の身体はバランスを崩し、バンクに落下した。
「ぜ、んっ…!!」
伽耶が身を乗り出す。
吉信が駆け付けるのが映り、然は倒れたままだが反応していた。
テレビはすぐ次の選手へと移り、俺はスマホを手に席を立った。