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Vesica Pisces
第20章 太陽の静寂
頭を掻きながらの決定事項はあまりにも大きな事で、言葉が出ない。

「まあ、こっちでも良いんだけどさ、手が掛からなくなったらって事で考えてよ」

考えてよといいながら、土地は押さえたという。

透の行動力を甘く見ていた。

『赤ちゃん…まだ初期だよ?無事産めるかどうかだってわかんないのに、そんな先の事なんて』

「らしいな、でもさ、いつか北海道でとは前々から考えてたんだよ、きっかけが今回の事になっただけ」

そんな話は初耳だ。

「ヤダ?」

首を振る。

『いいよ、行こ!北海道!その代わり、私犬が飼いたいな、おっきい仔』

「っ!…いーんじゃね?」

ふわっと笑った透は私を手招きして、そっと背後から抱きしめた。

大きな透の手がお腹に触れた。

「ねー、いつ頃解禁?」

『何が?』

「セックス」

「おーるっ!!」

「本には安定期に入ったら、ゆっくりなら良いらしいよ?」

透の頬を思いっきり引き伸ばしてやった。

「いてーよ、ったく、今はこれで我慢しーまーすー」

腕を外されて、がっちり身体を固められると、ゆっくり透の唇が重なった。

「ンーッ」

がっつり舌を絡められて、窒息しそうなくらい長いキスに、透の胸を叩くと、どうやら肋骨に響いたらしく悶絶していた。
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