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Vesica Pisces
第20章 太陽の静寂
お昼ご飯を食べると透はリハビリへと出て行った。
机の上から名付けの本を手に取ってめくると、もう既に丸が付いていたり、画数が書き込まれていたりしていた。
男の子の名前も女の子の名前も同じくらいの候補が挙がっていて、透は案外子煩悩に成るのかもしれない。
視界に入り込んだ人影に顔を上げると、そこには嘉登が立っていた。
『こんにちは!この前はありがとうございました』
「いーや、こちらこそ助かったよ」
結婚して半年後、私は仕事を辞めて透に付いて世界中を回っていた。
それもこの春からは日本にいて、専業主婦を満喫していた。
が、嘉登の頼みでお店の配送作業やら、データ入力などのバイトとしてちょこちょこ手伝いをしていた。
「透、親父になるんだって?」
『そうなんです』
「透が親父ねぇ…めっちゃ甘々になりそうだな」
頷く私に、嘉登はふわりと微笑んだ。
「伽耶ちゃん、透を幸せにしてくれてありがとう」
一瞬、嘉登の言った意味がわからなかった。
幸せになっているのは自分の方だった。
『私…幸せにしてあげられてる?』
「そりゃもう!透の顔見てりゃわかるよ、最高に幸せそう」
他人の目からもそう見えるのが堪らなくなって…頬を涙が伝った。
机の上から名付けの本を手に取ってめくると、もう既に丸が付いていたり、画数が書き込まれていたりしていた。
男の子の名前も女の子の名前も同じくらいの候補が挙がっていて、透は案外子煩悩に成るのかもしれない。
視界に入り込んだ人影に顔を上げると、そこには嘉登が立っていた。
『こんにちは!この前はありがとうございました』
「いーや、こちらこそ助かったよ」
結婚して半年後、私は仕事を辞めて透に付いて世界中を回っていた。
それもこの春からは日本にいて、専業主婦を満喫していた。
が、嘉登の頼みでお店の配送作業やら、データ入力などのバイトとしてちょこちょこ手伝いをしていた。
「透、親父になるんだって?」
『そうなんです』
「透が親父ねぇ…めっちゃ甘々になりそうだな」
頷く私に、嘉登はふわりと微笑んだ。
「伽耶ちゃん、透を幸せにしてくれてありがとう」
一瞬、嘉登の言った意味がわからなかった。
幸せになっているのは自分の方だった。
『私…幸せにしてあげられてる?』
「そりゃもう!透の顔見てりゃわかるよ、最高に幸せそう」
他人の目からもそう見えるのが堪らなくなって…頬を涙が伝った。