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Vesica Pisces
第20章 太陽の静寂
上の子供たちを探すと、1番上は場外の隅っこで小さなバイクを走らせている。

5歳が乗るにしては本格的なエンジン付きのバイクだ。

真ん中は嘉登と未知と共にスタンドの上からジュース片手に降りてきていた。

「ぱぱー」

大きく手を振るその笑顔に手を振り返した。

「だれが親かわかんねーな」

『そうやって育てたのは誰?』

「俺ー」

海外遠征の間は嘉登や万里が父親代わりになり、急病な時に助けてもらったり、幼稚園の運動会にまで参加したくらいだ。

数ヶ月ぶりに帰国した時の“おじちゃん、いらっしゃいませ”は結構傷ついた。

何より…2人目を産んだ直後、大量出血をした伽耶の血の気を失った顔は今思い出しても震えてしまう。

それでも伽耶は3人目を望んだ。

「強いな」

『自画自賛?』

ちげーよ、お前がだよ、その言葉を飲み込んで肩を抱き寄せた。

夜になり、漆黒の空に無数の星が輝きだすと子供達は天蓋つきのベッドがある子供部屋へと走っていった。

おもちゃで溢れ返っているその部屋は、親と眠るより遥かに魅力的らしい。

そして、末の娘はこちらではごくごく当たり前の様に両親とは別の部屋で休む。
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