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Vesica Pisces
第20章 太陽の静寂
専用のナニーまで雇われていて、夫婦2人きりだ。

娘が本当にナニーといるのか、それとも嘉登らの所なのか、はたまたジャリルの所なのかはもう考えるのはよそう。

大きな風呂に浮かんだ花々はこの上なくロマンチックで、向かい合わせの伽耶は満面の笑顔で水面に触れている。

視線に気づいたのか、花を掬っていた手を止めて首を傾げる伽耶。

あ い し て る

音もなく唇だけを動かしても、伽耶ははにかんだ笑顔を浮かべた。

あまりにも静かで、伽耶の世界に入る事が出来たようで…伽耶を引き寄せた。

目の前まで迫った伽耶はそっと目を伏せて、んっとキスを強請った。

2人きりの時の伽耶の可愛さは結婚してから拍車がかかった気がする。

家に帰ると誰よりも真っ先に玄関まで迎えに来て、キスを強請る。

後を追ってくる子供達は俺たちを見て囃し立てる。

風呂をあがって、ナイトガウンを羽織って窓辺に立つ伽耶の隣に立つと綺麗な満月が空を飾っていた。

「なー初めてキスした時のこと覚えてる?」

『覚えてるよ、すっごくドキドキしたもん』

「ふーん」

にやにやが止まらない俺を身体で押してくる伽耶。

『透はどういうつもりでキスしたの?』


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