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Vesica Pisces
第3章 太陽は静寂を揺する
バックパックを背負い乗り換えの駅前でふと目に付いた本屋へ入る。
書籍案内を見ながら真っ直ぐ進んだ先の本棚から、基本から応用までが一冊に纏められた薄めの物を手に取った。
本屋を出ると長い信号待ちでパラパラと中を捲った。
嘉登がいつから覚え始めたのか、どれくらいで習得したのかなんて知らないけれど、嘉登以上になりたいと信号を二回も見逃していた。
ふと顔を上げた視線の先にオープンテラスが見えた。
「は…?」
確かに伽耶だった。
向かいに座っているスーツ姿の男は知らないけれど、会社がどこにあるかまで聞いていない。
それでも親しげに、笑顔で、指先は饒舌に語っていた。
「なんだよ、俺以外には笑えんじゃん…」
透は本を仕舞うと空港行きの電車に乗り込んだ。
飛行機に乗って、傍に置いたさっき買ったばかりの本をチラチラみる。
何に意地を張っているのか。
イヤホンをしても視界に入る本がどうしても気になって、結局開いてしまう。
これで世界が繋がる。
この世界の何処かにいる伽耶に、一歩でも近く術になる。
一度開けばもうそれからはひたすら吸収するだけで、新しい事はどんな事でもやっぱり面白かった。
書籍案内を見ながら真っ直ぐ進んだ先の本棚から、基本から応用までが一冊に纏められた薄めの物を手に取った。
本屋を出ると長い信号待ちでパラパラと中を捲った。
嘉登がいつから覚え始めたのか、どれくらいで習得したのかなんて知らないけれど、嘉登以上になりたいと信号を二回も見逃していた。
ふと顔を上げた視線の先にオープンテラスが見えた。
「は…?」
確かに伽耶だった。
向かいに座っているスーツ姿の男は知らないけれど、会社がどこにあるかまで聞いていない。
それでも親しげに、笑顔で、指先は饒舌に語っていた。
「なんだよ、俺以外には笑えんじゃん…」
透は本を仕舞うと空港行きの電車に乗り込んだ。
飛行機に乗って、傍に置いたさっき買ったばかりの本をチラチラみる。
何に意地を張っているのか。
イヤホンをしても視界に入る本がどうしても気になって、結局開いてしまう。
これで世界が繋がる。
この世界の何処かにいる伽耶に、一歩でも近く術になる。
一度開けばもうそれからはひたすら吸収するだけで、新しい事はどんな事でもやっぱり面白かった。