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Vesica Pisces
第4章 太陽は静寂を開く
小さな紙袋が書籍に重なり合うように鎮座していた。
「いつ渡すんだよ」
メアドも電話番号も知らない相手。
嘉登を介せばすぐわかるだろうが、それは嫌だった。
ベッドに潜り込んで目を閉じれば、あっと言う間に眠りへと誘われていった。
目を覚ますと冬の日差しはすでに飴色に変わっていた。
マウンテンパーカーを羽織って、車庫に置いてある誰のものかもわからないBMXに乗るとふらりと外に出る。
ここよりずっと寒い地域に居たのに、頬に当たる風がここの方が遥かに寒く感じるのは何故だろう。
スマホで検索したBMXトラックに着くと、まだ誰も居ないそこで走り始めた。
1時間も経たないうちに汗が滴り、パーカーを放ってTシャツ一枚になる。
想像してたものが形になっていく悦びに時間も忘れて熱中し、気がつくと陽はとっぷり暮れて居た。
吐く息は煙の様に白く、遠目に足を止めてこちらを見る人影がちらほらあった。
「あ」
その中の一人、確かに伽耶だった。
目が合ったからか伽耶は小さく会釈をし、そそくさとその場を離れていく。
「あ、おいっ!待てって聴こえねーのかっ」
BMXを放り出して植え込みを飛び越えた。
「いつ渡すんだよ」
メアドも電話番号も知らない相手。
嘉登を介せばすぐわかるだろうが、それは嫌だった。
ベッドに潜り込んで目を閉じれば、あっと言う間に眠りへと誘われていった。
目を覚ますと冬の日差しはすでに飴色に変わっていた。
マウンテンパーカーを羽織って、車庫に置いてある誰のものかもわからないBMXに乗るとふらりと外に出る。
ここよりずっと寒い地域に居たのに、頬に当たる風がここの方が遥かに寒く感じるのは何故だろう。
スマホで検索したBMXトラックに着くと、まだ誰も居ないそこで走り始めた。
1時間も経たないうちに汗が滴り、パーカーを放ってTシャツ一枚になる。
想像してたものが形になっていく悦びに時間も忘れて熱中し、気がつくと陽はとっぷり暮れて居た。
吐く息は煙の様に白く、遠目に足を止めてこちらを見る人影がちらほらあった。
「あ」
その中の一人、確かに伽耶だった。
目が合ったからか伽耶は小さく会釈をし、そそくさとその場を離れていく。
「あ、おいっ!待てって聴こえねーのかっ」
BMXを放り出して植え込みを飛び越えた。