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Vesica Pisces
第5章 太陽は静寂を焼く
筒抜けなんだよ。

男だけになったリビングではバカ話と下ネタばっかり。

だらだら酒を飲みながらふと女子の会話が耳に入って、全員の意識がドアに集中する。

誰々がカッコいいとか。

誰々が優しいとか。

「伽耶は?やっぱり嘉にぃ?」

やっぱりってなんだ。

どんな会話のやりとりで未知が笑ってドアを意識して話してるのかわからないれど、名前が出た嘉登は余裕の笑顔でこっちに手を振っている。

嘉登はいい奴だ。

初めて会った時は澄ましたヤツって思った。

でも実は誰よりも内側が熱くて、普通にバカもやるし、意外と抜けてるところもあって、今じゃ誰よりも一番深い理解者になっていた。

嘉登と付き合う女はきっと大事にしてもらえる。

俺が保証する。

「透、これ見てよ」

ジェソンに呼ばれて一眼レフを覗いていると、遠征に行ってる間の飲み会や仕事の写真など何千枚という写真が流れて行く。

お風呂を督促されても、目も合わせたくない。

つまらない顔は見せたくない。

そのままおやすみを言われて、終わり。

パーティーが始まって一度も話さないまま。

酒が深くなって夜もすっかり更けて、自分の部屋に戻っても寝付けなくて。
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