この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Vesica Pisces
第6章 太陽は静寂を引く
4日目の夜、買い出しに向かう車の中で吉信と他愛の無い話をする。
スノーボードの現況や仕事の具合、遠征の愚痴。
「お前はまだまだ伸びる」
「いつまで伸ばす気だよ」
吉信に預けられた頃からもう10何年、頭をぐしゃぐしゃに撫でながら繰り返される吉信の決め台詞。
父親代わりの吉信が居たから今の自分がある。
「お前、決まった女はいないのか?」
「はぁ?」
「取っ替え引っ替えしてんじゃねぇよ、ふらふらしてると大事な女を見落としちまうぞ」
「うっせ」
窓の外を見つめても地平線まで真っ白な大地が続くだけだ。
伽耶は。
伽耶はこんな景色を見たことがあるだろうか。
もしこの景色を見せることが出来たらなんて思うだろう。
ランプやトゥイークらと雪原をあの笑顔で走り回るだろうか。
「何だ、ちゃんと居るんじゃねえか」
ドンっと胸を叩かれて一瞬息が詰まる。
「手加減しろよっ!!」
ガハハと笑う吉信に見透かされたものを否定しなかった。
「もう帰れ、明日の飛行機一人分くらい空いてるだろうが」
吉信はいつだって絶妙のタイミングで背中を押してくる。
翌日、然と二匹に別れを告げて空港まで送ってもらう。
スノーボードの現況や仕事の具合、遠征の愚痴。
「お前はまだまだ伸びる」
「いつまで伸ばす気だよ」
吉信に預けられた頃からもう10何年、頭をぐしゃぐしゃに撫でながら繰り返される吉信の決め台詞。
父親代わりの吉信が居たから今の自分がある。
「お前、決まった女はいないのか?」
「はぁ?」
「取っ替え引っ替えしてんじゃねぇよ、ふらふらしてると大事な女を見落としちまうぞ」
「うっせ」
窓の外を見つめても地平線まで真っ白な大地が続くだけだ。
伽耶は。
伽耶はこんな景色を見たことがあるだろうか。
もしこの景色を見せることが出来たらなんて思うだろう。
ランプやトゥイークらと雪原をあの笑顔で走り回るだろうか。
「何だ、ちゃんと居るんじゃねえか」
ドンっと胸を叩かれて一瞬息が詰まる。
「手加減しろよっ!!」
ガハハと笑う吉信に見透かされたものを否定しなかった。
「もう帰れ、明日の飛行機一人分くらい空いてるだろうが」
吉信はいつだって絶妙のタイミングで背中を押してくる。
翌日、然と二匹に別れを告げて空港まで送ってもらう。