この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Vesica Pisces
第7章 太陽は静寂を掴む
「時間、いいなら…初日の出でも見に行く?」
思い掛けない誘い。
「どーせ初めてだろ?無理にとは言わねーけど」
『行きたいです!いいんですか?』
「じゃー行きますか」
程なくして着いたのは透の家だった。
「ここで待ってて」
透がいない間に母に初日の出を見に行ってから帰るとメールしたけれど、時間が時間だけに返事が返って来ることは無かった。
トランクが閉まる振動の後、透が運転席に乗りこみハンドルを握った。
『何か…ありました?』
「…別に」
透は前だけを見てひたすら走ること二時間。
目的地にほど近いコンビニに立ち寄った。
『何か飲みますか?』
「嘉登にも敬語?」
『もちろんです』
ホットの缶コーヒーとカフェオレを二本カゴに入れて、レジで透は唐揚げを、伽耶はレジ脇のお菓子といちご大福を会計した。
「このクソ寒いのになんでいちご大福なんだよ」
『美味しそうに見えたから…食べます?』
「いらね」
少し走って駐車スペースに停めると、日の出まであと三時間程だった。
『真っ暗ですね』
「まあな」
車内にコーヒーの香りが広がる。
ハンドルに腕を乗せて、缶コーヒーを啜る透の横顔をそっと見つめた。
思い掛けない誘い。
「どーせ初めてだろ?無理にとは言わねーけど」
『行きたいです!いいんですか?』
「じゃー行きますか」
程なくして着いたのは透の家だった。
「ここで待ってて」
透がいない間に母に初日の出を見に行ってから帰るとメールしたけれど、時間が時間だけに返事が返って来ることは無かった。
トランクが閉まる振動の後、透が運転席に乗りこみハンドルを握った。
『何か…ありました?』
「…別に」
透は前だけを見てひたすら走ること二時間。
目的地にほど近いコンビニに立ち寄った。
『何か飲みますか?』
「嘉登にも敬語?」
『もちろんです』
ホットの缶コーヒーとカフェオレを二本カゴに入れて、レジで透は唐揚げを、伽耶はレジ脇のお菓子といちご大福を会計した。
「このクソ寒いのになんでいちご大福なんだよ」
『美味しそうに見えたから…食べます?』
「いらね」
少し走って駐車スペースに停めると、日の出まであと三時間程だった。
『真っ暗ですね』
「まあな」
車内にコーヒーの香りが広がる。
ハンドルに腕を乗せて、缶コーヒーを啜る透の横顔をそっと見つめた。