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Vesica Pisces
第1章 太陽×静寂=99…
あんなにも激しく攻め立てていた獰猛な獣の面影は影を潜め、小さく丸まって眠る表情は穢れを知らない無邪気な子猫そのものだ。
二回しかしていないのに、全身を覆う倦怠感が半端無い。
フラビアはその懐に潜り込みひと時の甘い時間を一人堪能し、目を覚ましたら恋人になって欲しいと告げるために目を閉じた。
✳︎ ✳︎ ✳︎
白み始めた空。
リフトが動き出す前にゲレンデに向かうのはソティリオとベッカー、今朝方ホテルに戻ってきたエディは残してきた。
「あいつもちゃっかり美味しいところを持ってくよなぁ」
「本当、顔が良い奴は得だよな!…こんな時間に先客だぞ?」
無数のシュプールが出来上がっているところを見ると、もう随分前から滑っているらしい。
「…あのエアって…」
目を凝らす二人の横をボードを抱えた少年が追い越して行く。
「やっぱりトオルだっ!!」
少年はその姿を確信して声を弾ませた。
少年の元へ滑り付いたのと、二人が落ち着いたのはほぼ同時だった。
「トオルだよねっ?!
興奮している少年はボードにサインを強請った。
この為に用意したであろうペンには銀色にラメが入っており、黒地によく映えた。
二回しかしていないのに、全身を覆う倦怠感が半端無い。
フラビアはその懐に潜り込みひと時の甘い時間を一人堪能し、目を覚ましたら恋人になって欲しいと告げるために目を閉じた。
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白み始めた空。
リフトが動き出す前にゲレンデに向かうのはソティリオとベッカー、今朝方ホテルに戻ってきたエディは残してきた。
「あいつもちゃっかり美味しいところを持ってくよなぁ」
「本当、顔が良い奴は得だよな!…こんな時間に先客だぞ?」
無数のシュプールが出来上がっているところを見ると、もう随分前から滑っているらしい。
「…あのエアって…」
目を凝らす二人の横をボードを抱えた少年が追い越して行く。
「やっぱりトオルだっ!!」
少年はその姿を確信して声を弾ませた。
少年の元へ滑り付いたのと、二人が落ち着いたのはほぼ同時だった。
「トオルだよねっ?!
興奮している少年はボードにサインを強請った。
この為に用意したであろうペンには銀色にラメが入っており、黒地によく映えた。