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Vesica Pisces
第7章 太陽は静寂を掴む
視界に広がるのは青から赤に照らされる波。
空は光が闇を追い払いにかかる。
『あそこ、一本の線みたい!!』
海と空を分ける白い光のライン。
えっと一瞬表情の固まった透に、自分のテンションの高さがどれだけなのか我に返る。
『ごめんなさい、ウザい…ですよね…』
「いや?外出ようぜ」
澄み切った空気と潮風が頬に痛い。
人気のない砂浜を、透の後をついて歩いた。
等間隔に並ぶ二つの足跡さえ嬉しくて、果てまで歩いて行きたいと思った。
キラキラと水面に反射した光が初日の出を教えてくれる。
『…っ!!』
初日の出を見に行くという事がどれだけ特別なのか一目で分かる光景だった。
全てが洗われて、新しい光が身体の隅々まで行きわたり、生まれ変われるようなそんな神々しさがあった。
あんなに凍てつくように感じた風も気にならないくらい見惚れていた。
どれくらいそこで見つめていたのか、太陽はすっかり姿を現していて、いつもの海に戻っていた。
「堪能した?」
砂浜に下りるコンクリートの階段に座っていた透がぽんと投げた。
手の中に収まったのは温かいココアの缶。
いつの間に買いに行ったのだろう。
空は光が闇を追い払いにかかる。
『あそこ、一本の線みたい!!』
海と空を分ける白い光のライン。
えっと一瞬表情の固まった透に、自分のテンションの高さがどれだけなのか我に返る。
『ごめんなさい、ウザい…ですよね…』
「いや?外出ようぜ」
澄み切った空気と潮風が頬に痛い。
人気のない砂浜を、透の後をついて歩いた。
等間隔に並ぶ二つの足跡さえ嬉しくて、果てまで歩いて行きたいと思った。
キラキラと水面に反射した光が初日の出を教えてくれる。
『…っ!!』
初日の出を見に行くという事がどれだけ特別なのか一目で分かる光景だった。
全てが洗われて、新しい光が身体の隅々まで行きわたり、生まれ変われるようなそんな神々しさがあった。
あんなに凍てつくように感じた風も気にならないくらい見惚れていた。
どれくらいそこで見つめていたのか、太陽はすっかり姿を現していて、いつもの海に戻っていた。
「堪能した?」
砂浜に下りるコンクリートの階段に座っていた透がぽんと投げた。
手の中に収まったのは温かいココアの缶。
いつの間に買いに行ったのだろう。