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Vesica Pisces
第7章 太陽は静寂を掴む
大通りに出るとすぐに電話をかけた。

「もしも…「嘉登!つまんねぇ嘘ついてんじゃねーよ!!」

「嘘じゃねーし、大事な話し、だよ?俺にとってはね」

ぶちっと通話を切ると、イライラしながら仕事に向かった。

「年明け早々すまないね」

沢上 浩嗣が持ってきた衣装に着替えて隣の部屋へ移る。

「初めまして!せっかくのお休みのところすみません、今日は宜しくお願いします」

握手を交わして椅子に深く腰掛けた。

帰国するたびにこうやって雑誌の取材が待っているのは有難い。

今回はインタビューがメインだけれど、たまに女性誌やファッション誌からも声が掛かる。

ドアからひょっこり顔を覗かせたのは嘉登だった。

インタビューも終わりみんなでご飯に行く。

FMXのこれからなどという真面目な話は酒が回るまでの束の間だけで、あとはぐだくだの雑談になっていた。

「で、上手くいった?」

「いくわけねーだろ」

「え?透くん、彼女いないの?」

「いーまーせーんー」

不貞腐れて答えれば笑いが起こる。

「なんで俺に女がいないとウケるんだよ」

「透にだよ?節操のない透くんは本命には振り向いてもらえないとか!マジ、ウケるわ」
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