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Vesica Pisces
第8章 太陽は静寂に寄せる

ゲートを潜りながら速攻で嘉登に電話を掛ける。
鳴り続ける呼び出し音でも、掛け直すなんて事はしない。
「鳴らし過ぎだろ!!」
電車を待つホームに着く頃やっと応答する嘉登。
「伽耶の会社って何処?」
「藪から棒に何?」
「いいから言え、時間がないんだよ」
嘉登はすぐ社名と最寄駅を答える。
「つーかさ、お前今どこにいるの?」
電車の到着を知らせるアナウンスが響き渡る。
「は?ちょっ…マジではね…」
必要な情報だけもらって電話を切り、来た電車に乗り込んだ。
改札を抜けたのが17時過ぎ、小雨がぱらぱらと落ちて来ていた。
終業時間まで聞かなかったけれど、17時だとしても終わってすぐ帰る事はないと高を括って、正面玄関から少し外れたガードレールに座ると出入りする人並みに目を凝らした。
ナイロンのマウンテンパーカーは雨を弾くけれど、夕暮れ時を過ぎて一段と冷え込んできた。
コーヒーでも買いに行こうかと思ったけれど、その間にすれ違うのだけは嫌だった。
ブーブーとしきりに震えるスマホは嘉登なら無視と決め込んだけれど、マリウスだった為仕方なく出た。
「もしもーし」
「トオル?今どこにいるんだ?」
「ちょっと野暮用、明日の夕方には戻る、っ!!あと宜しく!」
鳴り続ける呼び出し音でも、掛け直すなんて事はしない。
「鳴らし過ぎだろ!!」
電車を待つホームに着く頃やっと応答する嘉登。
「伽耶の会社って何処?」
「藪から棒に何?」
「いいから言え、時間がないんだよ」
嘉登はすぐ社名と最寄駅を答える。
「つーかさ、お前今どこにいるの?」
電車の到着を知らせるアナウンスが響き渡る。
「は?ちょっ…マジではね…」
必要な情報だけもらって電話を切り、来た電車に乗り込んだ。
改札を抜けたのが17時過ぎ、小雨がぱらぱらと落ちて来ていた。
終業時間まで聞かなかったけれど、17時だとしても終わってすぐ帰る事はないと高を括って、正面玄関から少し外れたガードレールに座ると出入りする人並みに目を凝らした。
ナイロンのマウンテンパーカーは雨を弾くけれど、夕暮れ時を過ぎて一段と冷え込んできた。
コーヒーでも買いに行こうかと思ったけれど、その間にすれ違うのだけは嫌だった。
ブーブーとしきりに震えるスマホは嘉登なら無視と決め込んだけれど、マリウスだった為仕方なく出た。
「もしもーし」
「トオル?今どこにいるんだ?」
「ちょっと野暮用、明日の夕方には戻る、っ!!あと宜しく!」

