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妖魔滅伝・真田幸村!
第2章 本能寺の真実
月も帰り支度を始め、太陽が目覚めようとする静かな時間、本能寺に集まる人は少なかった。時の人、織田信長が宿泊しているとは思えないくらいに。
だが、そこは千の兵が攻めかかっても、簡単には落とされない場所だった。寺には似合わない、黒い影が徘徊していたのだ。
夜よりも深い闇の気配を感じた明智光秀は、それを見て息を飲む。そして自分の謀反が誤りではないと、確信した。
「信長様……」
明智光秀の隣には、銀のロザリオを持つ南蛮人がいた。まだ十五と若いが、光秀より既に背が高い少年だった。
「明智様、参りましょう。人間の兵は皆様に任せますが、妖魔兵は我らエクソシストにお任せください」
彼は十字を切ると、大きく深呼吸し心を整える。第六天魔王を名乗る、妖魔の主織田信長の討伐――それは南蛮の退魔師である彼にとっても、初めての大掛かりな戦であった。
その日の明け方、織田信長は死んだ。が、その戦いで人間の他に、南蛮から現れた妖魔が多数死んだ事は、どこにも記録されていない。伝わるのは、エクソシストの口伝のみであった。