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妖魔滅伝・真田幸村!
第2章 本能寺の真実
薬が過ぎれば毒となるように、妖魔を宿し続ければ娘にも負担が掛かるのは間違いない。今は瀬戸際で助かっていても、宿し続けた事で取り返しがつかなくなる可能性もあるのだ。だが吉継は、首を横に振った。
「心配はない。あの子はとっくに、覚悟を決めているから」
覚悟とは、単なる戦いへの意気込みではないだろう。幸村が顔を伏せれば、吉継は笑い声を漏らした。
「ああ、なるほど。だから君は、和紗に選ばれたんだね」
「選ばれた……?」
娘が人の死の淵で戦う事に、心を痛めない父親がいるはずがない。だが吉継は幸村の予想に反し、穏やかな表情を浮かべていた。
「さて、私達反対派は玉藻前を迎えたが、また一つ問題が生じた。娘の力だけでは、玉藻前が充分に戦えなかったんだ」
「しかし先程は、よく馴染んだと仰ったのでは?」
『体はの。しかし力を引き出すには、生命の素となる、精の力が必要じゃ。和紗に限った事ではない、女は皆、宿した精を育む役割がある。それゆえ、どうしても精を放つ量が限られるのじゃ。だからこそ、宿主としては適しておるのじゃがな』