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妖魔滅伝・真田幸村!
第2章 本能寺の真実
「まさか、だから娘に取り憑いたと?」
『その通り。魔を孕む体となっていた娘は、儂を抵抗なく受け入れられた。普通なら人の気が反発して力を十二分には発揮できんが、まるで己の体のように馴染めたぞ』
それを幸と呼ぶべきか不幸と呼ぶべきか、幸村には分からなかった。しかしそのおかげで、娘は完全なる妖魔とならずに済んでいるのだ。幸と思うより他はなかった。
『いい肉体を得られたおかげで、娘を犯した妖魔は殺してやれた。しかしのぅ、吉継に呪いを掛けた妖魔の方は強力で、追い払うのが精一杯じゃった。まあ、儂がいなければ、吉継も呪いどころか命はなかっただろう。儂が救世主である事に、変わりはないがな』
「玉藻前と、私達の目的は一致している。南蛮の妖魔を払い、元の通り住み分ける事に、異存がある人間はいないだろう。人はそうして、今まで生きてきたのだから」
『だからの、儂は吉継の味方になってやったのじゃ。娘の体を儂に差し出すのを条件に、邪魔な妖魔共を殺してやるとな』
「しかし刑部殿、娘はそれで良いのですか? 某は妖魔について無知ですが、娘の体は人の身を保てるのでしょうか」