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帝都被虐奇譚 美少女探偵助手の危険な冒険、ふしだらな願望
第11章 乙女達の逃亡
教会傍にあるチャペルに併設され、唯一、表通りに面した物置小屋を注意深く監視するのは、五十面相倶楽部の面々です。手筈通りに事が進んだのならば、もうそろそろ、あの小屋の中で紀子の性戯に参った寧子嬢が連れ出されてくる予定です。それを今か今かと待ちわびる配下の者たち。紀子と寧子嬢が身を潜めるように、その中に侵入し、つい先ほどまで公に出来ぬ痴情のシンフォニーが漏れ伝わってきたことを思えば段取り通り、事は進んでいるはずでした。ところが、二人が現れる様子はなく、いつまでも女の嬌声が、男子禁制の花園に、時折風に乗って、稀代の怪盗の部下の鼓膜を打ちます。
「あの、紀子という娘、可愛い顔をしているが、とんだ食わせ物かもしれんな」
「うむ、相当な好きモノだ」
「もともと、地位や権威を好みそうな顔立ちだ。女が相手でも、高貴な姫君相手だと、燃え上がるものがあるんじゃないのか」
女同士の情事が繰り広げられているであろう小屋を目に、それぞれ勝手な妄想を膨らませます。
しかし、紀子は彼らが思うほど、ふしだらでもなければ愚かでもありませんでした。
「さ、寧子さま、お急ぎください」
「ど、どこへ行くのじゃ?」
「安全なところですわ。五十面相の僕は、わたくしに寧子さまを物置に連れ出し、人知れず貴女様を拉致する予定だったのです。今でも物置小屋にわたくしたち二人が情事に耽っていると思い込ませる策を講じてありますからご安心を」
そう、紀子は寧子さまと僅かな背徳的レズビアンな時間を過ごしましたが、すぐさま彼女を連れて、堂々と教会の正面から逃走を図ったのです。今もって、物置小屋からは女同士の嬌声が木霊しています。何故ならば、今、背徳の秘め事に耽っているのは五十面相に渡された媚薬を用い、淫乱な性感を開花させた修道女たちだからです。賢い紀子は、彼女たちを囮に、寧子さまの逃走・救出を画策したのです。
「見張りに気づかれる前に、正面門から表通りに出ましょう」
「あの、紀子という娘、可愛い顔をしているが、とんだ食わせ物かもしれんな」
「うむ、相当な好きモノだ」
「もともと、地位や権威を好みそうな顔立ちだ。女が相手でも、高貴な姫君相手だと、燃え上がるものがあるんじゃないのか」
女同士の情事が繰り広げられているであろう小屋を目に、それぞれ勝手な妄想を膨らませます。
しかし、紀子は彼らが思うほど、ふしだらでもなければ愚かでもありませんでした。
「さ、寧子さま、お急ぎください」
「ど、どこへ行くのじゃ?」
「安全なところですわ。五十面相の僕は、わたくしに寧子さまを物置に連れ出し、人知れず貴女様を拉致する予定だったのです。今でも物置小屋にわたくしたち二人が情事に耽っていると思い込ませる策を講じてありますからご安心を」
そう、紀子は寧子さまと僅かな背徳的レズビアンな時間を過ごしましたが、すぐさま彼女を連れて、堂々と教会の正面から逃走を図ったのです。今もって、物置小屋からは女同士の嬌声が木霊しています。何故ならば、今、背徳の秘め事に耽っているのは五十面相に渡された媚薬を用い、淫乱な性感を開花させた修道女たちだからです。賢い紀子は、彼女たちを囮に、寧子さまの逃走・救出を画策したのです。
「見張りに気づかれる前に、正面門から表通りに出ましょう」