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帝都被虐奇譚 美少女探偵助手の危険な冒険、ふしだらな願望
第2章 誘拐・・・怪盗の魔手に紀子が囚われる・・・
やがて、宴は主賓のローマ法王が中座され、場の雰囲気も少々緊張が解けます。すると、陛下も席を立たれ、いずこかへといかれるご様子です。するとお付きの者が、寧子嬢に扮した紀子のもとに歩み寄り耳打ちをします。
「紀子さん、陛下がお話があるとのことですので、どうぞこちらに」
「まぁ、陛下が!」
帝都大学教授令嬢という立派な家庭のお嬢さんである紀子ですが、天皇陛下直々にお話を戴くなど、畏れ多いことです。大変緊張の面持ちで可憐なドレス姿のまま、席を立つ紀子でした。
「こちらへどうぞ」
大広間から少々離れた宮殿の一室の、菊の御門が眩しい扉をノックしたお付きの男性は紀子を促します。
「失礼いたします。河嶋紀子でございます」
篠宮先生からも、今宵は決して本名を名乗らず、近衛之宮忠輝の末娘、寧子嬢を演じなさいときつく申し渡されておりましたが、陛下の前では、偽名を使うなど赦されないことです。帝都警察を通して紀子が寧子嬢に成り代わっていることは皇族方もご存じのはずだという認識が紀子にもありましたから、探偵助手としては何の問題もない行動のはずでした。しかし・・・。
畏れつつも、室内に足を踏み入れた紀子を待ち構えていたのは、穏やかで万民の幸を願う天皇陛下ではありませんでした。そう、帝都の民を恐怖に震え上がらせる稀代の大悪党、奇人五十面相ではありませんか。
「あ、あなたは五十面相!! わたくしを図ったのね!?」
怪人は金色に輝く仮面の下から、低い嗤い声を立てます。
「フフフフ、その通りだよ、やはり君は寧子嬢ではない。あの篠宮探偵の可愛い助手じゃあないか」
紀子は後ろ手でドアをこじ開けようとしますが、既に施錠されているようで重い扉はびくともしません。紀子は袋の鼠にされたわけです。
「畏れ多くも陛下を騙って相手を誘きだすなんて卑怯よ。・・・わたくしをどうするつもりなの?」
恐怖にたじろぎつつも、日頃はチャーミングな瞳を吊り上げて問い詰めます。
「寧子嬢を誘拐できない以上、それに成り代わった君を攫うほかなかろう? 私は予告したことは必ず実行する主義でね」
鉄仮面は冷徹に言い放つと、音もなく紀子に忍び寄り、その通った鼻筋に白い布を強く押し当てます。
「うう・・・」
急激な眠気に襲われた紀子は、敢え無く意識を失い、清楚なドレス姿の肢体を稀代の大怪盗に委ねるのでした…。
「紀子さん、陛下がお話があるとのことですので、どうぞこちらに」
「まぁ、陛下が!」
帝都大学教授令嬢という立派な家庭のお嬢さんである紀子ですが、天皇陛下直々にお話を戴くなど、畏れ多いことです。大変緊張の面持ちで可憐なドレス姿のまま、席を立つ紀子でした。
「こちらへどうぞ」
大広間から少々離れた宮殿の一室の、菊の御門が眩しい扉をノックしたお付きの男性は紀子を促します。
「失礼いたします。河嶋紀子でございます」
篠宮先生からも、今宵は決して本名を名乗らず、近衛之宮忠輝の末娘、寧子嬢を演じなさいときつく申し渡されておりましたが、陛下の前では、偽名を使うなど赦されないことです。帝都警察を通して紀子が寧子嬢に成り代わっていることは皇族方もご存じのはずだという認識が紀子にもありましたから、探偵助手としては何の問題もない行動のはずでした。しかし・・・。
畏れつつも、室内に足を踏み入れた紀子を待ち構えていたのは、穏やかで万民の幸を願う天皇陛下ではありませんでした。そう、帝都の民を恐怖に震え上がらせる稀代の大悪党、奇人五十面相ではありませんか。
「あ、あなたは五十面相!! わたくしを図ったのね!?」
怪人は金色に輝く仮面の下から、低い嗤い声を立てます。
「フフフフ、その通りだよ、やはり君は寧子嬢ではない。あの篠宮探偵の可愛い助手じゃあないか」
紀子は後ろ手でドアをこじ開けようとしますが、既に施錠されているようで重い扉はびくともしません。紀子は袋の鼠にされたわけです。
「畏れ多くも陛下を騙って相手を誘きだすなんて卑怯よ。・・・わたくしをどうするつもりなの?」
恐怖にたじろぎつつも、日頃はチャーミングな瞳を吊り上げて問い詰めます。
「寧子嬢を誘拐できない以上、それに成り代わった君を攫うほかなかろう? 私は予告したことは必ず実行する主義でね」
鉄仮面は冷徹に言い放つと、音もなく紀子に忍び寄り、その通った鼻筋に白い布を強く押し当てます。
「うう・・・」
急激な眠気に襲われた紀子は、敢え無く意識を失い、清楚なドレス姿の肢体を稀代の大怪盗に委ねるのでした…。